コラム

高騰したCPCを下げる8つの改善策を解説

コラム:2024年5月22日

企業がリスティング広告を使って売上を伸ばすには、費用対効果の高い運用が欠かせません。
広告運用にかかる広告費などが高騰してしまうと、せっかく売上を伸ばしても経費が多額になってしまって利益が減るからです。

CPCの高騰も利益を減らしてしまう要因ですが、原因を突き止めて適切に改善すればCPCの額をおさえることが可能です。

本記事では、CPCの相場や高騰してしまう原因、CPCが高騰しているときに行うべき改善策などを紹介します。

CPC(クリック単価)の相場

リスティング広告のCPC(クリック単価)は、自社の業種・業界や広告を出稿するキーワードなどによって変わります

一般的なクリック単価の平均相場も、50円〜1,000円とかなり幅があります。

海外企業の「Wordstream」が調査したデータによると、Google広告の業界別CPCの平均相場は以下のとおりです。
【1ドルを140円で換算】

業界クリック単価の相場
自動車販売317円
アパレル・ファッション372円
健康・フィットネス561円
教育552円
金融・保険640円
就職552円
法律1,214円
不動産190円
レストラン・食品258円

引用元:Digital Benchmarks by Industry: PPC

上記の表を見ると、法律や金融・保険、健康・フィットネスなど、提供する商品やサービスの単価が比較的高めの業界でCPCが高くなるイメージです。
これは、商品やサービスの単価が高いと成約した際の売上も大きくなるため、その分、強力な競合も多くなるからだと考えられます。

ただ実際は、広告出稿時に設定するキーワードや広告・ランディングページ(LP)の品質によって、同一の業界でもCPCは異なります。

CPC(クリック単価)が高騰してしまう原因

グラフィックス1
この項目では、CPCが高騰する原因を7つ紹介します。

【原因①】競合が多い

グラフィックス2
CPCが高騰する主な原因の一つは競合の多さです。

リスティング広告は入札で広告の表示順位などが決まるため、自社が狙うキーワードが人気の語句だった場合、CPCが高くなる傾向にあります

「リスティング広告代理店」というキーワードを例に見てみると、CPCの額は以下のようになります。

  • 上部に掲載された入札単価(高額帯):¥3,371
  • 上部に掲載された入札単価(低額帯):¥1,052

上記の内容は、「リスティング広告代理店」というキーワードで広告を出稿した場合、CPCの幅は1,052円~3,371円になるという意味です。

リスティング広告の運用代行やコンサルティングを行う代理店の数は多いため、多くの広告主が「リスティング広告代理店」というキーワードを狙うと考えられます。
そのため、CPCも高くなると予想できます。

このように、多くの競合が狙うキーワードはCPCが高騰する可能性が高いです。

【原因②】時期要因で需要が高まっている

グラフィックス3
CPCが高騰する原因の一つに時期要因があります。
商品やサービスには、時期によって需要が高まるものも多いからです

上記画像の「ヒートテック」というキーワードを例に挙げると、画像のとおり、冬が近づいて寒くなる時期から検索ボリュームが伸びています。
そのため、ヒートテックやその類似商品を扱う企業は、9月からのニーズの高まりに備えて広告予算を増やします。

これにより、CPCが高騰してしまうわけです。

また、時期要因でキーワードの検索ボリュームが減少しているときも、CPCが高騰する可能性が高くなります
これは検索ボリュームの減少によって利用可能な広告枠も少なくなるので、限られた枠を取り合うことでCPCも上がってしまうからです。

【原因③】アルゴリズムの変更

検索エンジンのアルゴリズムの変更も、CPCが高騰する原因のひとつです。

Googleなどの検索エンジンが広告の掲載順位を決めるときは、入札単価や広告のクオリティ、予想クリック率、ランディングページの質などを総合的に考慮します
アルゴリズムが変更されるとこれらの判断基準や要素も変更される可能性があるので、その影響によってCPCも高騰してしまうケースがあります。

広告のクオリティを表す品質スコアは、特に重要な要素です。

品質スコアが高いと広告が上位に表示されやすくなるので、その分、CPCを下げられます。
そのため、アルゴリズムの変更によるCPCの高騰に備える場合は、Googleの公式アナウンスを常にチェックして品質スコアを高く保つことが求められます。

【原因④】品質スコアが低い

グラフィックス4
先述のとおり、品質スコアはCPCの高騰に影響します。
リスティング広告の掲載順位は、「入札単価×品質スコア」の計算式の結果を基準にしたオークションで決まるからです

この基準を「広告ランク」といいます。

品質スコアが低い状態で広告ランクを高くするには入札単価を高くするしかないので、結果的にCPCも高騰する可能性が高まります。

品質スコアを決める評価内容は以下のとおりです。

  • 推定クリック率
  • 広告とランディングページの関連性
  • ランディングページの利便性

上記のいずれかが低くなると品質スコアが下がり、CPCも高騰します。

【原因⑤】設定キーワードの変更

設定キーワードの変更にともなう影響も、CPCが高騰する原因のひとつです。

先述のとおり、リスティング広告は広告を出稿するキーワードによってCPCを変えられます。
複数のキーワードで広告を出稿する場合、「それぞれのキーワードにどれだけの広告費をかけるか」によって、アカウント全体のCPCの額も決まります

ここで、二つの事例を見てみましょう。

【例1】

キーワード広告費クリック数クリック単価
キーワードA¥75,000150¥500
キーワードB¥25,000250¥100
合計/平均¥100,000350¥286

【例2】

キーワード広告費クリック数クリック単価
キーワードA¥50,000100¥500
キーワードB¥50,000500¥100
合計/平均¥100,000600¥167

例1では、CPCが高いキーワードAに広告費を多く割いており、全体的なクリック単価は286円になっています。

対して例2では、キーワードAとBにそれぞれ同じ金額の広告費を設定しています。
全体的なクリック単価は167円となりました。

この二つの例を見てもわかるとおり、「どのようなキーワードを採用し、どれくらいの広告費をかけるか」によって全体のCPCも変わってきます。

そのため、CPCが高めのキーワードを多く設定したり、すべてのキーワードに高額のCPCを設定したりするとアカウント全体のCPCの額も高騰するので注意が必要です。

【原因⑥】自動入札戦略の影響

自動入札戦略(※1)の設定による影響も、CPCが高騰する要因のひとつです。

※1「自動入札戦略」
”AIを使ってクリックやコンバージョンの獲得につながる入札単価を割り出し、自動で設定できる入札戦略。いくつかのタイプに分類されている”

具体的な例を挙げると以下のとおりです。

  • 自動入札戦略の導入時
  • 戦略を切り替えとき
  • 配信内容を大きく変更したとき

自動入札戦略に関する上記のタイミングでは、ステータスが「入札戦略学習中」となって学習に必要なデータが不足します。
これにより、目的に最適化した配信ができなくなるので、CPCの設定も不安定になる可能性があります

特に、コンバージョンに関するデータが不足しているときは要注意です。
データが不足している状態で「コンバージョンを最大化する戦略」を使うと、CPCが大幅に高騰する危険性があります。

実際、CPCが5,000円にまで跳ね上がった事例もあります。

【原因⑦】アドフラウドの影響

アドフラウド(※2)による悪影響も、CPCが高騰する一因です。

※2「アドフラウド」
”無効なインプレッションやクリックを繰り返して広告費を不正に搾取する行為”

リスティング広告のアドフラウドの事例では、ボットによる大量クリックや競合他社による嫌がらせ目的のクリックなどが起こっています

被害は増加傾向にあり、2021年では被害額が1,000億円を超えたといわれています。

高騰したCPC(クリック単価)を下げるには?

グラフィックス5

  • 【改善策①】配信ターゲットを絞る
  • 【改善策②】配信キーワードの拡張とマッチタイプの変更
  • 【改善策③】除外キーワードを追加する
  • 【改善策④】品質スコアを上げる
  • 【改善策⑤】入札戦略の見直し
  • 【改善策⑥】キーワードの入札単価を下げる
  • 【改善策⑦】広告のテキスト見直す
  • 【改善策⑧】広告表示オプションの設定を増やす

【改善策①】配信ターゲットを絞る

高騰したCPCを下げるには、配信ターゲットを絞り込むのが効果的です。

具体的には、「地域、年齢、性別、デバイス、時間帯、広告表示場所、デモグラフィック情報」などの条件を細かく設定し、広告を表示するユーザーを絞り込みます

この絞り込みにより、無関係なユーザーへの無駄な広告表示を減らす効果が期待できるので、より効率的な広告運用が可能になります。

結果、CPCの削減にもつながるでしょう。

【改善策②】配信キーワードの拡張とマッチタイプの変更

配信キーワードの拡張とマッチタイプの変更に関する具体的な内容は以下のとおりです。

  • ロングテールキーワードを使用する
  • マッチタイプを変更する
  • キーワードの競合状況を調査する

ロングテールキーワードを使用する

ロングテールキーワードとは、「4語以上の語句で構成され、検索ボリュームが比較的少ないため、競合が少ないキーワード」のことです。
競合が少ない分、ロングテールキーワードでリスティング広告を出稿すると入札コストを低くおさえられるため、CPCも低くおさえられる可能性が高くなります

また、ユーザーのニーズを具体化したフレーズになりやすいので購買意欲の高いユーザーを集めやすく、その分、コンバージョン率(CVR)も高くなる傾向にあります。
その反面、広告を表示できるユーザーの母数が少なくなりやすいのがデメリットです。

ロングテールキーワードは、検索ボリュームと推定平均CPCを特定したキーワードを、キーワードプランナーでチェックすることで見つけられます。
また、検索エンジンの入力窓に語句を入力したときに表示されるキーワードを参考にする方法もあります。

マッチタイプを変更する

キーワードのマッチタイプを変更することも有効です。
マッチタイプには以下の3つがあります。

  • 部分一致
  • 完全一致

部分一致は拡張性が高く競合も少ないため、CPCが低いキーワードを見つけやすいのでおすすめです
部分一致が使えない状況なら、フレーズ一致を使うことをおすすめします。

完全一致は、マッチタイプの中でもっともCPCが高くなる傾向にあります。

ただ、部分一致を多用し過ぎると自社のターゲットから大きく外れたユーザーにも広告を表示してしまうので注意が必要です。
まずはコンバージョンの可能性が高いキーワードに部分一致を試しながら、同時に除外キーワードを設定していくのが良いでしょう。

マッチタイプの違いや、それぞれのメリット・デメリットについては以下で詳しく解説しています。

リスティング広告の「部分一致」と「フレーズ一致」の違いは?効果的な活用方法も解説

キーワードの競合状況を調査する

高騰するCPCを抑制するには、キーワードの競合状況(※3)を調べることも重要です。

※3「キーワードの競合状況」
”対象のキーワードに対してGoogle広告を出稿している競合の数や、競合企業がどれくらい広告を出稿しているかを示す指標”

競合の数が多いと広告の表示回数が少なくなってCPCが高騰し、逆に少ないと広告の表示回数が増えてCPCは低くなります

競合の状況は、キーワードプランナーなどのツールを使えば調べられます。

【あわせて読みたい】
リスティング広告の競合調査手順やデータの活用方法を徹底解説

【改善策③】除外キーワードを追加する

CPCを効果的に下げるためには、不要なキーワードを除外することも重要です。
Google広告の検索語句レポートを見れば、広告の表示につながった検索語句のリストを確認できます

広告費を浪費しているキーワードも確認できるので、これらのキーワードを除外キーワードに設定すればCPCの高騰をおさえられます。

【あわせて読みたい】
リスティング広告のキーワード数の目安|予算・規模・単価に分けて解説

【改善策④】品質スコアを上げる

先述のとおり、CPCの高騰をおさえるには品質スコアを上げることが有効です。
品質スコアが高いとその分、CPCを低くおさえられ、広告の露出機会に関係する広告ランクにも良い影響を与えます

品質スコアが低いとCPCを高くしなければ広告の掲載順位が上がらず、広告ランクも低くなって広告の表示頻度も減るので注意が必要です。

品質スコアを上げる具体的な内容は、下記の記事で解説しています。

品質スコアを上げるための3つの施策を解説

【改善策⑤】入札戦略の見直し

この項目では、入札戦略タイプごとの見直しポイントを紹介します。

  • 入札戦略タイプが「コンバージョン数の最大化」の場合
  • 入札戦略タイプが「目標コンバージョン単価制」の場合
  • 入札戦略タイプが「クリック数の最大化」の場合
  • 入札戦略タイプが「拡張クリック単価(eCPC)」の場合

入札戦略タイプが「コンバージョン数の最大化」の場合

「コンバージョン数の最大化」タイプでCPCが高騰した場合、目標コンバージョン単価(CPA)を設定するのが有効です。
許容できるCPAや過去に良い結果が出たCPAを設定すれば、CPCをおさえられる可能性が高まります

また、コンバージョンデータが不足していることでCPCが高騰するケースもあります。
この場合、フォーム遷移などの中間指標をマイクロコンバージョンとして設定するのが有効です。
これにより、CPCの高騰をおさえられる可能性が高くなります。

これらの施策を試してもCPCの高騰がおさえられない場合は、一時的に入札戦略タイプを「クリック数の最大化」に変更することも検討してください。

入札戦略タイプが「目標コンバージョン単価制」の場合

「目標コンバージョン単価」タイプでは、それぞれの広告グループで目標コンバージョン単価を設定できます。

すでにCPCが高い広告グループや、コンバージョンを獲得しにくい広告グループの目標コンバージョン単価を下げれば、全体のCPCを下げることにつながります

ただ、目標コンバージョン単価を下げ過ぎると広告の表示回数も大幅に減少するため注意が必要です。
バランスを保ちつつ、キーワードの追加や部分一致の利用なども同時に行うのがおすすめです。

入札戦略タイプが「クリック数の最大化」の場合

「クリック数の最大化」タイプでは、上限クリック単価を適切に設定することでCPCの高騰をおさえられます

また、性別、年齢、エリアなどのターゲティング設定ごとに入札比率を調整できます。
これにより、CPCが高いターゲットの入札比率を下げたり、CPCが低いターゲットの入札比率を上げたりなどの調整が可能です。

入札戦略タイプが「拡張クリック単価(eCPC)」の場合

「拡張クリック単価(eCPC)」タイプはそれぞれのキーワードで入札価格を設定できるので、高騰しているキーワードの金額を下げるだけでCPCも下がります

また、「クリック数の最大化」タイプと同様に同様に、年齢、性別といったターゲット属性ごとに入札比率も調整できます。

【改善策⑥】キーワードの入札単価を下げる

キーワードの入札単価を下げることもCPCの高騰をおさえられます。

入札単価を下げた場合、掲載順位も下がってしまう可能性もありますが、単価を下げ過ぎなければある程度の順位で広告を表示できるでしょう

CPCが高騰している状況ではあえて上位掲載にこだわらず、コストとのバランスを取って適切な順位を狙うのも有効な考え方です。

広告の掲載順位が下がることを受け入れつつも、検索結果の上位に留まることは狙い続けるので、コンバージョン率を大きく下げることも避けられるでしょう。

【改善策⑦】広告のテキスト見直す

広告文を見直すことも、CPCの高騰をおさえることにつながります。

見直す際の主なポイントは以下のとおりです。

  • テキストは短く簡潔にする
  • ユーザーに行動を促すコール・トゥ・アクションを追加する
  • セールスポイントを強調する
  • 競合との差別化をはかる
  • 検索クエリ(ユーザーが実際に入力する語句)をテキストに入れる

広告文を見直してクリック率を上げれば、CPCを低くおさえることにつながります

【改善策⑧】広告表示オプションの設定を増やす

広告表示オプションの設定を増やすことも、CPCの高騰をおさえることにつながります。
広告の専有面積を広げてより多くの情報をユーザーに提供できるので、クリック率を高めることにつなげられるからです

クリック率が高まれば品質スコアの向上にもつながり、結果としてCPCも低くおさえられるので、可能な限り多くのオプションを利用することをおすすめします。

ただ、オプションを設定し過ぎると顧客獲得単価(CPA)やコンバージョン率が悪化してしまう危険性もあるので、バランスを取りながら取り組むことが重要です。

【あわせて読みたい】
【Yahoo!広告】広告表示オプションの設定方法|メリット・注意点も徹底解説!

まとめ

CPCの高騰を解消することは広告運用の費用対効果を高め、自社の利益を伸ばすことにつながります

CPCの高騰を改善するには、以下のような専門知識やノウハウが求められます。

  • 配信ターゲットの設定
  • マッチタイプの設定
  • ロングテールキーワードや除外キーワードの設定
  • 品質スコアを高める取り組み
  • 入札戦略タイプ別の改善の取り組み
  • 広告テキストの見直しや広告表示オプションの効果的な設定

自社に運用経験やノウハウがない状態で上記のような取り組みをスムーズに行うのは、いささかハードルが高いといえるでしょう。

自社にノウハウがない場合や、あっても自信があるとはいえない状況では、広告運用のプロである広告代理店を利用するのがおすすめです。
アドバイスや作業のサポートを受けられるコンサルティングや、運用のすべてをまかせられる運用代行など、利用できるサービスも豊富に用意されています。

弊社は、リスティング広告の運用全般に精通している広告代理店です。
御社の課題や悩みをお伝えいただければ、解決に向けての方向性をお話することも可能です。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を監修した人

株式会社Hew One’s Way(ヒューワンズウェイ)のマーケティング部

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