リスティング広告運用で競合名を使用してもいい?リスクとメリットも徹底解説
リスティング広告で設定するキーワードに競合の社名などをを使用すると、一定のメリットがあります。
しかしその反面、リスクや注意すべき点もあります。
本記事は、リスティング広告における競合名の使用可否や商標登録されたキーワードについて紹介するものです。
併せて、リスティング広告で競合名を使用するリスクやメリット、効果的な運用方法等も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
リスティング広告で競合名を使用してもいいの?
まず、自社のリスティング広告における競合名の使用可否について解説します。
- 「キーワード」としては使用できる
- 「広告文」には使用できない
「キーワード」としては使用できる
リスティング広告の入札で設定するキーワードであれば、競合名を使用することは可能です。
リスティング広告出稿時に利用される媒体であるGoogle広告でも、Yahoo!広告でも問題ないものとして扱われています。
競合名をキーワードとして利用するケースは以下のとおりです。
- 完全一致キーワードとして競合名を登録する
- 一般名詞を部分一致するキーワードとして登録する
完全一致はその名のとおり、自社がキーワードに設定した競合名とユーザーが検索した検索語句が一言一句違わずに一致するものです。
競合名を登録するケースではあまり起こりませんが、完全一致では、同じ意味を持つ検索語句ならキーワードの語句と多少異なっていても広告表示されることもあります。
部分一致は、登録したキーワードはもちろん、関連する類義語・関連語句に対しても広告表示されるものです。
たとえば、「東京 病院」と部分一致キーワードを設定している場合、「東京 おすすめ 外科」や「品川区 内科」等でも広告表示できます。
一般名詞を部分一致キーワードに登録することは、商標権の侵害や競争を故意に行うものではありません。
競合名を入札時のキーワードでの使用を禁止すると、部分一致での広告出稿で大きな支障が出ます。
仮に広告出稿を行う当事者間で問題が発生したとしても、各広告媒体は「話し合いで解決して欲しい」としています。
参照:登録商標について(LINEヤフー for Business)
「広告文」には使用できない
リスティング広告の入札キーワードで競合名を使うことは問題ありませんが、掲載する広告文に競合名を使用すると商標権侵害となり、損害賠償を請求される可能性があります。
広告文に競合名を使用すると不正競争に該当し、経済産業省が定める「不正競争防止法2条1項14号」に違反することになるので注意してください。
「不正競争防止法2条1項14号」に該当する要件は以下のとおりです。
- 両者間は競争関係にあること
- ある事実の告知や流布行為がある場合、この事実が虚偽であったり、告知や流布が他人の営業上の信用を害したりしていること
「商標登録されたキーワード」は使用してもいいの?
商標登録した商品・サービス名、店舗名、ブランド名等には商標権が付与され、権利を持つ者だけが独占的に利用することが可能です。
商標権が付与された名称等を無許可で使用すると、商標権の侵害として損害賠償請求を求められます。
たとえ知らなかった場合でも、民事的措置が取られる危険性があるので注意してください。
リスティング広告の入札キーワードでも、商標登録された名称を使用すること自体は問題ないとされています。
商標登録されたキーワードを使って広告表示させることも可能です。
広告文で商標登録された名称等を使うと明確な商標権の侵害になりますが、広告表示のキーワードとして使うなら問題ないという扱いになります。
ただ、自社が名称をキーワードとして使っている競合他社が「商標権使用の禁止」をGoogle広告等に申請すれば、商標使用制限がかかる可能性があります。
ある日突然、それまで使っていたキーワードが使用不可になるので、商標登録されたキーワードで広告出稿するのは控えるのが無難といえるでしょう
どうしても商標登録されたキーワードを使いたいという事情があるときは、SEOで対策することも検討してください。
逆に商標登録している自社名が他社にキーワードとして使われている場合は、こちらが「商標権使用の禁止」の申請を行えます。
Google広告
Yahoo広告
参考:検索広告における商標使用制限について(LINEヤフー for Business)
商標登録の調べ方
広告出稿のキーワードとして使いたい名称が「商標登録されているかどうか?」を調べる時は、専用のサイトの利用がおすすめです。
『特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)』を使えば無料で調べられます。
使い方は以下のとおりです。
①トップページの「商標」タブで「商標登録」を選択
②検索対象種別の中で「出願・登録情報」にチェックが入っているかを確認する
③「検索項目」の中から「称呼」を選択する
④右にある「キーワード」の欄に調べたい語句を入力する
ひらがな、カタカナ、アルファベット等は別々に検索して調べてください。
リスティング広告で競合名を使用するリスク
この項目では、リスティング広告で競合名を使う時のリスクについて紹介します。
- 【リスク①】他社の商標権を侵害してしまう可能性がある
- 【リスク②】景品表示違反に抵触する可能性がある
【リスク①】他社の商標権を侵害してしまう可能性がある
先述のとおり、リスティング広告で競合名を使っていると他社の商標権を侵害する危険性があります。
広告出稿時のキーワードとして使っている場合でも、ブランドイメージの悪化やユーザーに与える誤解を理由に除外設定の依頼が来ることもあります。中にはキーワードの除外設定を要求してくるケースもあるようです。
より状況が悪化すれば、自社が名称等をキーワードとして利用している競合から営業妨害を指摘されて深刻なトラブルに発展する可能性もあります。
相手によっては、民事措置を提示してくることもあるでしょう。
【リスク②】景品表示違反に抵触する可能性がある
リスティング広告の広告文で競合名を使ってしまった場合、商標権の侵害や営業妨害にあたるだけでなく、景品表示法の比較広告(※1)に抵触する危険性もあります。
※1「比較広告」
”自社が提供する商品やサービスと競争関係にある特定の商品やサービスを比較対象として取り上げる広告。”
比較広告自体は問題ありませんが、一般消費者を誤認させてしまうようなケースでは景品表示法の不当表示に該当します。
広告文の書き方や表現によっては、この不当表示に該当してしまう危険性があるので注意が必要です。
参照:比較広告 | 消費者庁
競合他社から「競合名の除外」を求められたら
競合名等を広告出稿時のキーワードとして使っていると、「特定の名称の除外依頼」が来るケースもあります。
除外依頼はあくまでも依頼に過ぎないので、相手方の要望に沿うかは基本的に自社の判断次第です。
ただ先述のとおり、状況が悪化すると怒りの電話が来て業務に支障が出たり、民事措置を提示したりしてくることも考えられます。
わざわざ同業者との関係を悪くする必要もないため、広告運用戦略や経営戦略に悪影響がないのなら、素直に従っておくのが賢明といえるでしょう。
相手方の依頼によってキーワードを除外する時は、自社のキーワードが相手方の広告出稿時に使用されていないかも確認してください。
もし利用されているなら、こちらがキーワードの除外を行う代償として相手方にも除外してもらいましょう。
リスティング広告で競合名を使用するメリット
この項目では、リスティング広告で競合名を使うメリットについて紹介します。
- 【メリット①】機会損失の防止につながる
- 【メリット②】コンバージョン率が高いユーザーを獲得できる
- 【メリット③】コンバージョン単価を下げることができる
【メリット①】機会損失の防止につながる
リスティング広告を出稿するためのキーワードに競合名を使うと、より多くのユーザーにアプローチできます。
競合名で指名検索する検索ユーザーも自社のランディングページに誘導できるため、自社商品にニーズを感じやすいユーザーに効率よく訴求することが可能です。
「この会社の商品も良さそうだな」と競合の商品に関心のあるユーザーにアピールできるため、比較検討の選択肢にも入りやすくなります。
結果、機会損失の防止につなげられるでしょう。
【メリット②】コンバージョン率が高いユーザーを獲得できる
キーワードに競合名を使用すると、コンバージョン率の高いユーザーを獲得しやすくなります。
自社が競合と捉える企業や商品は、当然、自社との共通点が多いものです。
訴求したいターゲットの属性も似ているケースが多いので、必然的に自社の商品に興味を持ちやすいユーザーも多くなります。
闇雲に自社サイトへのアクセスを増やそうとビッグキーワードで広告出稿する時とは違い、購入意欲の高いユーザーをピンポイントで効率よく集められるのです。
【メリット③】コンバージョン単価を下げることができる
コンバージョン単価を下げられるのも、競合名をキーワードに使うメリットです。
自社商品に興味を持ちやすいユーザーを効率よく集められるため、競合より値段を安くしたり、付加価値を付けて差別化したりすればコンバージョンを獲得しやすくなります。
競合名をキーワードに使えば広告費等の集客に関わる費用を抑えられるため、結果的にコンバージョン単価を抑えることにつながります。
競合キーワードを使用した効果的な広告運用方法
競合名をキーワードで使用する際、競合よりも優れている部分を広告文で訴求することで、高確率で購入の選択肢に入れるでしょう。
競合名を検索するユーザーは、自社ターゲットと属性が近いため、競合と比較検討できるような広告文を作成するのが効果的です。
広告文で訴求したい内容の例は以下のとおりです。
- 価格や性能に関する具体的な数字
- ベネフィットの根拠
- 限定の訴求
- 目を引くキャッチコピー
- サポート体制の充実
上記の内容を広告文に取り入れ、競合と比較検討させることができれば、リスティング広告の効果の上昇が見込めるでしょう。
まとめ
リスティング広告における競合名は、広告文で使用することは原則禁止ですが、出稿時のキーワードとして使うことは基本的に問題ありません。
競合名をリスティング広告のキーワードで使うと自社のターゲットと似た属性ユーザーを集められるので、集客効率も高まります。
ただ、名称を利用している競合から除外依頼が来たり、場合によっては民事措置を提示されたりする可能性もあります。
商標登録されている名称であれば、「商標権使用の禁止」の申請により、商標使用制限がかかって突然使えなくなるケースもあるので注意が必要です。
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