リスティング広告の「部分一致」と「フレーズ一致」の違いは?効果的な活用方法も解説
リスティング広告には、検索語句(キーワード・検索クエリ)に対して広告配信の範囲を決めるための設定があります。
マッチタイプ(※1)と呼ばれるもので3種類に分かれていますが、特に分かりにくいのがフレーズ一致と部分一致です。
本記事では、リスティング広告のマッチタイプの概要や、それぞれの異なる点、メリット・デメリット等について解説します。
※1「マッチタイプ」
”リスティング広告の管理画面で設定するキーワードと検索される語句が「どれくらい一致しているか?」によって広告配信の範囲が変わる設定。”
リスティング広告の「マッチタイプ」とは
まず、リスティング広告のマッチタイプについて紹介します。
- 【マッチタイプ①】完全一致
- 【マッチタイプ②】フレーズ一致
- 【マッチタイプ③】部分一致
【マッチタイプ①】完全一致
完全一致では、設定したキーワードとまったく同じ語句で検索されたときに広告が配信されます。
キーワードと意味や意図が同じ語句でユーザーが検索したときにも、広告表示される仕組みです。
広告の配信対象をもっとも絞り込める分、広告を表示できるキーワードの数は少なくなります。
いくつかの事例を挙げると以下のとおりです。
- 狙いたいキーワード:児童用 靴
- 広告が配信される検索語句:「靴 児童」「児童 靴」「児童 シューズ」
- 配信されない検索語句:「児童用 登山靴」
- 狙いたいキーワード:赤いスニーカー
- 広告が配信される検索語句:「赤い スニーカー」「スニーカー 赤い」「赤のスニーカー」
- 配信されない検索語句:「赤い スニーカー 安い」
【マッチタイプ②】フレーズ一致
設定したキーワードを含んでいるフレーズや、同じ意味の語句が含まれるフレーズをユーザーが検索したときに広告を配信できるのがフレーズ一致です。
設定したキーワードと同じ意味・内容のフレーズが入っていれば広告を表示できるため、完全一致とくらべて広告の配信対象になるキーワードの数も多くなります。
いくつかの事例を挙げると以下のとおりです。
- 狙いたいキーワード:ランニング シューズ
- 広告が配信される検索語句:「青い ランニング シューズ」「履きやすい ランニング スニーカー」
- 配信されない検索語句:「テニス シューズ」「バレエ シューズ」
- 狙いたいキーワード:婚活 静岡
- 広告が配信される検索語句:「婚活 静岡 公務員」「婚活 静岡県」
- 配信されない検索語句:「婚活 サイト 静岡」「静岡 婚活」
【マッチタイプ③】部分一致
部分一致は、設定したキーワードと関連性が高い語句や内容が検索されたときに広告を配信できる仕組みです。
キーワードと関連する内容も対象なので、設定したキーワードが入っていない検索語句でも広告が表示されます。
部分一致は、完全一致やフレーズ一致とくらべて、もっとも多くの検索語句を対象に広告を配信できます。
1つのキーワードだけで多様な検索に幅広く対応できるのが特徴です。
※部分一致は2024年7月から「インテントマッチ」に改名されました。
「インテント(意図)」とは、その検索を実施するユーザーが”こうしたい/こうしようと考えていること”を指します。ユーザーの最近の検索アクティビティなど追加のシグナルと Google AI を活用してユーザーの「インテント(意図)」を理解することで興味 / 関心や購買意向が高い検索語句を捕捉できます。
いくつかの事例を挙げると以下のとおりです。
- 狙いたいキーワード:バイク
- 広告が配信される検索語句:「購入 バイク」「バイク 安い」
- 狙いたいキーワード:炭水化物ダイエット プラン
- 広告が配信される検索語句:「炭水化物不使用 食品」「低カロリー レシピ」「地中海 ダイエット 本」
「フレーズ一致」と「部分一致」の違い
キーワードと検索される語句の一致する割合(一致率)に差があるのが、フレーズ一致と部分一致の異なる点です。
フレーズ一致とくらべて、部分一致の方がより幅広い検索語句を対象に広告を配信できます。
「関連するもの」という対象が幅広い部分一致と、「同じ意味の内容」に限定されるフレーズ一致では、対応できる検索語句の範囲に差が出るのは当然といえます。
部分一致で対象になる検索語句の例を挙げると以下のとおりです。
設定キーワードが「化粧水」の場合。
- 「化粧水 通販」
- 「化粧水 しっとり」
- 「ニキビ 化粧水」
- 「美肌 化粧水」
上記の「ニキビ」や「美肌」のように、部分一致はユーザーの潜在的なニーズまで網羅することが可能です。
フレーズ一致で対象になる検索語句の例を挙げると以下のようになります。
設定キーワードが「化粧水」の場合。
- 「化粧水 通販」
- 「化粧水 ネット」
- 「化粧水 しっとり 通販」
上記のように、フレーズ一致は広告を表示するターゲットを絞ることが可能です。
各マッチタイプのメリット・デメリット
この項目では、それぞれのマッチタイプのメリット・デメリットを紹介します。
- 「完全一致」を使用するメリット・デメリット
- 「フレーズ一致」を使用するメリット・デメリット
- 「部分一致」を使用するメリット・デメリット
「完全一致」を使用するメリット・デメリット
完全一致を使用するメリットは、コンバージョン率が高まることです。
設定したキーワードと関連のない検索語句を広告配信対象から除外できるからです。
対象になる検索語句が少ない分、余計な広告を配信せずに済むので無駄なクリックを避けられるのもメリットです。
費用を抑えて出稿できるため、限られた予算でのリスティング広告運用に適したマッチタイプといえるでしょう。
一方、キーワード設定の難度が高いというデメリットもあります。
完全一致には、キーワード選定を間違ってしまうと、まったく成果に繋がらないというむずかしさがあります。
「フレーズ一致」を使用するメリット・デメリット
完全一致ほどではないものの、フレーズ一致も広告配信の対象を絞り込めるのがメリットです。
完全一致より絞り込む範囲に余裕を持たせられるので、ターゲット層が幅広い商品やコンバージョン獲得が期待できるキーワードをうまく見つけられないときに重宝します。
ただ完全一致ほどではないにしても、配信対象の検索語句を絞り込むことに変わりはないため、絞り込み度合いを強くし過ぎると機会損失を生んでしまう可能性があります。
「部分一致」を使用するメリット・デメリット
部分一致を使用するメリットは、コンバージョン獲得に繋がるキーワードを発見できることです。
関連する検索語句に幅広く広告を配信できるので、自社がまだ発見できていない隠れたキーワード、いわゆる「お宝キーワード」を見つけられる可能性があります。
デメリットは、コンバージョン獲得に繋がらないユーザーに対しても広告を配信してしまうことです。
購入意欲の低いユーザーに広告をクリックされると、CPA(※2)が悪化してしまい、広告出稿に関する費用対効果が悪くなってしまう可能性があります。
※2「CPA」
”1件の広告成果獲得にかかった費用のこと。成果の内容は商品購入や資料請求、会員登録等さまざまです。広告の費用対効果をチェックするときの指標として重要。”
各マッチタイプを使う際に効果的なケースは?
この項目では、それぞれのマッチタイプの効果的な使い方について紹介します。
- 完全一致が効果的なケース
- フレーズ一致が効果的なケース
- 部分一致が効果的なケース
完全一致が効果的なケース
先述のとおり、完全一致は用意できる広告予算が少ないときに活用できるマッチタイプです。
他の2つのマッチタイプとは違い、コンバージョン獲得に繋がらないユーザーに広告が配信されることがないので、予算を抑えた費用対効果の高い運用ができます。
ただキーワードを絞り込んで配信する分、機会損失を生む可能性も高いので、可能であればフレーズ一致と組み合わせて活用するのがおすすめです。
設定したいキーワードが「自動車」や「シューズ」といった1語の場合でも、完全一致を活用できます。
1語のキーワード、いわゆるビッグキーワードは完全一致で配信しないと関連性の低いユーザーに対して大量に広告を配信してしまうためです。
完全一致にすれば完全ではないものの、高い割合で関連性の低いユーザーを除外できます。
フレーズ一致が効果的なケース
フレーズ一致は、「除外キーワード(※3)」の機能を使うことで広告費用を抑えることが可能です。
※3「除外キーワード」
”特定の検索語句を表示対象から外す機能のこと。”
フレーズ一致である程度の範囲に広告を表示する場合でも、洗濯機の販売店にとっての「洗濯機 業者」のように、除外したい検索語句はあります。
部分一致で広い範囲に広告を配信しつつ、明らかに無駄とわかる検索語句を除外キーワードで除けられれば、費用対効果の高い運用が可能です。
広告を配信するエリアを限定するときも部分一致を活用できます。
マッサージ店や居酒屋、アパレルのように、実店舗を構えるビジネスにおいて、「マッサージ 銀座」や「居酒屋 名古屋」といった検索語句に広告を配信するイメージです。
銀座や名古屋といった地域全体を網羅できるため、機会損失を抑えられます。
部分一致が効果的なケース
絞り込んだキーワードが3語以上ある場合は、部分一致を活用できます。
キーワードは単語の数が多いほど検索意図が明確になっていくからです。
たとえば、「テニスシューズ」よりも「テニスシューズ 男性 在庫」の方が検索意図を予想しやすいといえます。
部分一致は関連性の低いユーザーに対しても広告を配信してしまうのがネックです。
しかし、3語以上のキーワードのように検索意図がわかりやすければ、関連性の低いユーザーに広告が表示される可能性は低くなります。
配信候補のキーワードが多過ぎて絞り込めないときも部分一致が有効です。
部分一致でさまざまなキーワードを幅広く試し、コンバージョン獲得に繋がりやすいキーワードを見つけてからフレーズ一致や完全一致に変更するという選択肢もあります。
マッチタイプの活用ポイント
この項目では、それぞれのマッチタイプを活用するときのポイントを紹介します。
- 【ポイント①】キーワードの入札単価を調整する
- 【ポイント②】新たにキーワードを追加する
- 【ポイント③】除外キーワードを設定する
【ポイント①】キーワードの入札単価を調整する
キーワードのマッチタイプは、機械学習をもとに検索語句に対して広告を表示するかを判断します。
そのため、追加するマッチタイプキーワードが多くなれば、それだけトラフィック(※4)が増える可能性もあります。
※4「トラフィック」
”Webサイトに対するユーザーのさまざまなアクションの回数。訪問回数やPV数。ユーザーの自社サイトへのアクションが増えるということは、その前段階である広告のクリック数も多くなるため、トラフィックが増えると広告費も高くなりやすい。”
トラフィックが増え過ぎると広告費もそれだけ多くかかる可能性があるので、定期的に入札単価や予算の調整を行ってください。
【ポイント②】新たにキーワードを追加する
前項の内容とは逆にキーワードのトラフィックが減っている場合は、新たにキーワードを追加する必要があります。
マッチタイプキーワードが少なければ、それだけ機会損失も生まれてコンバージョンも獲得できないからです。
追加するキーワードは、対象となる検索語句の範囲が広いフレーズ一致や部分一致がおすすめです。
フレーズ一致や部分一致で配信ボリュームを増やし、コンバージョンに繋がるキーワードを見つけてから、完全一致で運用するのもいいでしょう。
Google広告が示してくれる最適化案を活用するのもおすすめです。
自社に関連性の高い新機能を提案してくれたり、入札やキーワード、広告の改善に繋がるおすすめの設定を表示したりしてくれるので、運用に行き詰ったら参考にしてみてください。
【ポイント③】除外キーワードを設定する
先ほど紹介した除外キーワードを積極的に設定することもポイントです。
たとえ完全一致であっても、関連性の低い検索語句をすべて除外するのは不可能だからです。
除外キーワードの設定は、費用対効果の高い運用を行ううえで必須の機能といえるでしょう。
除外キーワードを設定しておくと、その内容についても機械学習が働くので、より精度の高いマッチング動作も期待できます。
まとめ
リスティング広告の3つのマッチタイプは、どれかひとつを使い続けるのではなく、そのときの状況に応じて使い分けるべきものです。
それぞれのメリット・デメリットや使いどころを理解しておけば、臨機応変に活用できます。
中でも、特に使用頻度の高いのがフレーズ一致と部分一致でしょう。
両者とも幅広い検索語句を対象にできるため、キーワードを絞り込めないときに重宝します。
フレーズ一致と部分一致でコンバージョンに繋がるキーワードを見つけ、その後、完全一致に切り替えて費用対効果の高い運用を行うことも可能です。
現時点でリスティング広告の運用がうまくいっていない企業の方は、まず自社の運用状況を確認して「どのマッチタイプを使うべきか?」を検討してみてください。
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