CVR(コンバージョン率)の平均値は?業界別の調査データと具体的な改善策を紹介
CVRの平均値は、業界やデバイスごとに異なります。
活動する市場やユーザーのニーズ、提供する商品・サービスの値段などが業界によって違うからです。
デバイスについても、サイトの見え方や操作のやりやすさなどに差が出ます。
本記事では、CVRの定義や業界別・デバイス別の平均CVR、CVRが低くなってしまう理由などについて解説します。
また、CVR低下を改善する具体的な対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
CVRの定義
CVRとは、「Conversion Rate(コンバージョンレート)」の略で、日本語に直すとコンバージョン率となります。
リスティング広告やSNS広告などのWeb広告によって、ランディングページに誘導したユーザーが、どれくらいコンバージョン(成約・成果)に至ったかを示す割合のことです。
コンバージョンにはさまざまな種類があります。
主なコンバージョンの種類を挙げると以下のとおりです。
- 保険サービスサイト→資料請求
- Saasサービスサイト→無料トライアル申し込み
- BtoB向けサイト→ホワイトペーパー(導入事例)ダウンロード
- ECサイト→商品購入
上記のように、コンバージョンの内容は、広告運用の目的を達成するために必要になる具体的な行動を設定するのが一般的です。
CVRについては「CVRとは?計算式・平均・改善ポイント等を解説」でも解説していますのでご一読ください。
CVRの計算方法
CVRの計算方法は、計算対象の媒体によってまったく異なります。
たとえば、リスティング広告では「コンバージョン数 ÷ クリック数 × 100」で算出し、SEOでは「コンバージョン数 ÷ アクセス数 × 100」で算出します。
施策や媒体によって、コンバージョン数を割る数値がアクセス数になったり、クリック数になったりすることに注意してください。
リスティング広告の計算例を挙げると、広告をクリックしたユーザー150人の中で10人がランディングページで商品を購入したとすると、「10÷ 150 × 100 = 6.7%」になります。
業界別の平均CVRは?
この項目では、業界別のCVRの平均について紹介します。
- 検索広告
- ディスプレイ広告
検索広告
出典:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]|WordStream
検索広告の業界別の平均CVRは以下のとおりです。
- 擁護団体系:1.96%
- 自動車系:6.03%
- BtoB系:3.04%
- 消費者サービス系:6.64%
- 出会い&パーソナル系:9.64%
- 電子商取引系:2.81%
- 教育系:3.39%
- 雇用サービス系:5.13%
- 金融・保険系:5.10%
- 健康・医療系:3.36%
- 家庭用品系:2.70%
- 産業サービス系:3.37%
- 法務系:6.98%
- 不動産系:2.47%
- テクノロジー系:2.92%
- 旅行・ホスピタリティ系:3.55%
検索広告の業界別CVRでは「出会い&パーソナル系」が一番高く、そのあとに「法務系」「消費者サービス系」と続きます。
ディスプレイ広告
出典:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]|WordStream
ディスプレイ広告の業界別の平均CVRは以下のとおりです。
- 擁護団体系:1.00%
- 自動車系:1.19%
- BtoB系:0.80%
- 消費者サービス系:0.98%
- 出会い&パーソナル系:3.34%
- 電子商取引系:0.59%
- 教育系:0.50%
- 雇用サービス系:1.57%
- 金融・保険系:1.19%
- 健康・医療系:0.82%
- 家庭用品系:0.43%
- 産業サービス系:0.94%
- 法務系:1.84%
- 不動産系:0.80%
- テクノロジー系:0.86%
- 旅行・ホスピタリティ系:0.51%
ディスプレイ広告の業界別CVRでも「出会い&パーソナル系」が一番高く、そのあとに「法務系」「雇用サービス系」と続きます。
ユーザーのデバイスとCVRの関係
CVRは、使用するデバイスの使いやすさや操作性からも影響を受けます。
デバイス別の平均CVRは以下のとおりです。
- PC:2.3%
- モバイル:1.5%
- タブレット:2.6%
現代では1人1台以上持っているといわれるスマートフォンですが、PCやタブレットとくらべると画面が小さいため、入力フォームの操作などがやりにくい傾向にあります。
そのため、スマートフォンのCVRは他のデバイスとくらべると低くめです。
PCとタブレットの平均CVRについては、大きな差は見られません。
モバイルアプリのCVRについては、モバイルWebよりも高い傾向にあります。
CVRを向上させる施策を検討するときは、「ターゲットはどのデバイスをよく使うか?」を考える必要があります。
また現代は、やはりスマートフォンが一番利用されるデバイスなので、モバイルファースト(※1)を意識した施策も必要になるでしょう。
※1「モバイルファースト」
”Webサイトのデザインやフォームを、スマートフォンのようなモバイル端末に最適化させること”
理想のCVRとは
理想のCVRは、自社の業種や提供する商品・サービスの値段などによって異なります。
先ほど紹介した業界別のCVRが、理想のCVRを判断する上での指標になります。
理想のCVRを決める主な要素を挙げると以下のとおりです。
- 業界・業種
- マーケティングリソース
- 商品・サービスの値段
- 利用する広告媒体
たとえば、商品・サービスの値段が低い業種・業界はCVRが高くなる傾向にあります。
また、人の欲求を強く刺激するような「出会い系」や、今すぐ専門家に相談したいと望む「法務系」もCVRが高くなる傾向にあります。
逆に「不動産系」のように、購入・利用に至るまでに慎重な検討が必要になる商品・サービスのCVRは低めです。
商品の値段が高額になりやすい「BtoB系」も同様です。
自社にとっての理想のCVRを考えるときは、業界の平均CVRを参考にしてください。
CVRが低いのはなぜ?
この項目では、CVRが低いときに考えられる原因について紹介します。
- 【原因①】サイトの構造に問題がある
- 【原因②】入力フォームの項目数が多い
- 【原因③】広告とコンテンツの内容が異なっている
【原因①】サイトの構造に問題がある
CVRが低い原因でよく見られるのがサイト構造の問題です。
構造に問題のあるサイトは目当てのページやセクションにたどり着きにくいため、ユーザーは面倒になって離脱しやすくなります。
また、コンバージョンを獲得するための施策が不十分なケースも多いです。
サイト構造の問題でよくある例を挙げると以下のようになります。
- 導線が複雑でわかりにくい
- コンバージョンを促す行動喚起が弱い
- ファーストビューでサイトの魅力を伝えきれてない
- サイトが重くて表示スピードが遅い
- モバイルファーストができていない
上記の問題を解消することは、CVRを向上させるために重要です。
【原因②】入力フォームの項目数が多い
入力フォームの項目数の多さや使いにくさも、CVRを下げる原因になります。
商品を購入する気になって購入ページに遷移しても、入力する項目が多過ぎたり、入力しづらかったりすると面倒になって気持ちが冷めてしまいます。
CVRを下げる原因になる入力フォームの問題例は以下のとおりです。
- 入力フォームの必須入力項目が必要以上に多い
- 文字が見づらい
- 手入力を求める項目が多い
- 郵便番号で住所を自動入力できない
- 入力必須項目がわかりにくい
機会損失を防ぐためにも、入力フォームは使いやすさを重視しましょう。
【原因③】広告とコンテンツの内容が異なっている
ユーザーをサイトに遷移させる広告の内容と、ユーザーを迎えるサイトのコンテンツの内容が違っているケースでも、CVRは低くなります。
ユーザーが広告をクリックするときに期待した内容と違っているので、ユーザーは失望してすぐに離脱してしまう可能性が高いからです。
広告とサイトのコンテンツの相違については、広告で訴求する内容はもちろん、記載されるメッセージ内容も関係します。
広告とサイトのコンテンツの内容を一致させるのは、CVRを高めるために必須です。
CVR改善の具体例
この項目では、CVRの改善方法の具体例を紹介します。
- ターゲティングを見直す
- CVまでの導線を見直す
- LPO施策を実施する
- EFO施策を実施する
- CTAの位置や出現頻度を見直す
ターゲティングを見直す
CVRの改善には、正確なターゲティングが欠かせません。
正確なターゲティングを行うには、ペルソナ(※2)の設定が重要です。
※2「ペルソナ」
”商品やサービスを提供するときの具体的な対象。具体的な人物像。性別・年齢・生い立ち・学歴・職歴・年収・ライフスタイルなどあらゆる属性を検討して設定する”
ペルソナ設定が間違っていると、本来広告を届けるべきユーザーに広告が届かなくなります。
自社の商品を購入する可能性の高いユーザーに広告が届かなければ、CVRも当然上がりません。
CVRを改善するには、まずはターゲットとなるユーザーに対して適切に訴求できているかを見直しましょう。
CVまでの導線を見直す
CVRの改善では、CVに至るまでの導線を見直すことも重要です。
導線の中でスムーズに機能しない部分があると、その部分でユーザーが離脱する可能性が高くなるからです。
導線を見直すべき箇所は、ヒートマップツールを使って確認します。
ヒートマップツールを使えば、ユーザーがサイト上でどのように動いたかや、どのボタンやリンクがよくクリックされるかなどを可視化することが可能です。
コンバージョンに至るまでのユーザーの動きをヒートマップで追跡し、どこで離脱されているかなどを確認し、その原因を改善するための仮説を立てて導線を設計し直します。
LPO施策を実施する
LPO(※3)施策は、CVRの改善に有効です。
※3「LPO」
”LPOとは、「Landing Page Optimization」の略で、ランディングページ最適化のこと。ランディングページ設置の目的であるコンバージョン獲得のために、訴求や導線の設計、デザインなどを最適化する”
LPOによるCVR改善の具体的な取り組みは以下のとおりです。
- サイトの入口であるファーストビューの改善
- サイトの出口であるコンバージョンエリアの改善
- 入口から出口に至るまでの導線・情報設計の改善
上記の取り組みを行うために、下記の指標の数値を確認します。
- 現在のCVR
- 購入フォームに遷移したユーザー数
- ファーストビューでの離脱率
- ユーザーの滞在時間
上記の数値をもとに、コンバージョンにつながりやすい箇所から優先的に改善していきます。
EFO施策を実施する
EFO(※4)施策も、CVRの改善に有効です。
※4「EFO」
”EFOとは「Entry Form Optimization」の略で、入力フォーム最適化のこと。 必須記入項目をわかりやすくして入力漏れを減らすための改善策。また、入力支援機能などを実装し、ユーザーの入力にかかるストレスを軽減させるための施策”
サイト運営者側から見ると、入力フォームはユーザーに商品を購入してもらうための最終関門といえる部分なので、CVR改善には欠かせない施策といえます。
入力フォームでの離脱には、以下の3パターンが考えられます。
- 入力する前に離脱する
- 入力途中に面倒になって離脱する
- 入力後に気が変わって離脱する
上記のような離脱を防ぐには、特典を用意したり、入力項目を最小限におさえたりなどの対策が必要です。
CTAの位置や出現頻度を見直す
CVRの改善には、CTA(※5)やコンバージョンにつなげるポイントを増やしたり、設置する場所を変えたりする施策も有効です。
※5「CTA」
”CTAとは「Call To Action」の略で、行動喚起のこと。 Webサイトを訪問するユーザーを具体的な行動に誘導する。ユーザーをコンバージョンに導くために設置するボタンやリンクを指すことが多い”
とはいえ、コンバージョンを増やしたいからといって、無秩序にCTAを増やすのは得策ではありません。
増やすならポップアップで表示したり、チャットツールを追加してユーザーが質問に答えているうちにコンバージョンに至るような仕組みを整えたりするのがおすすめです。
Web接客ツールを使えば、サイトを改修しなくともポップアップやチャットツール機能を追加できます。
サイトの改修とくらべて費用をおさえられるので、費用対効果も高くなります。
まとめ
広告やランディングページにおけるCVRは、売上に直結する重要な指標です。
この指標の数値が低いまま放置していると、広告費用を浪費するだけになります。
CVR改善のためには、ターゲティングの見直し、導線の最適化、ランディングページや入力フォームの最適化、CTAの配置や頻度の見直しなどが有効です。
自社での改善対応が難しいなら、実績やノウハウが豊富な広告代理店に相談するのがおすすめです。