リスティング広告の競合調査手順やデータの活用方法を徹底解説
リスティング広告の運用において、競合の調査は欠かせません。
リスティング広告の掲載順位は、競合と入札単価で競い合うことで決まるからです。
本記事では、リスティング広告で競合調査を行う目的やその手順、役立つツールなどを紹介します。
またデータの活用方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
リスティング広告の出稿で競合調査を行う目的
リスティング広告運用での競合調査は、競合と自社を比較してそれぞれの強みや弱み、立ち位置などを把握するために行います。
リスティング広告を出稿する枠は出稿希望者の入札で決まるため、結果は競い合う相手の入札額などに強い影響を受けます。
競合の調査を十分に行わないままリスティング広告を出稿しても、成果に結びつかずに広告費を浪費して終わる可能性が高いので、事前の調査は必須です。
競合の調査を行う際は以下の2つの要素をチェックします。
- 競合のリスティング広告運用が自社にどのような影響を与えるか?
- 自社のリスティング広告や遷移先のランディングページで訴求すべき要素を見つけられるか?
競合のリスティング広告運用の成果によって、自社広告のインプレッション数(広告の表示回数)やクリック単価、コンバージョン(※1)率や獲得数に少なからず影響が出ます。
まずは、「競合の広告運用によって自社の運用成果にどのような影響がどれくらいあるのか?」を把握することが大切です。
広告文の内容やランディングページ(※2)で訴求する内容を、競合と違ったものにすることも重要になります。
※1「コンバージョン」
”ランディングページに訪問したユーザーが自社の目標に設定しているアクションを起こした状態”
※2「ランディングページ」
”検索結果画面に表示されたコンテンツや広告を経由してユーザーが最初に訪問するページ”
リスティング広告は競合の広告と上下にならんで表示されることも多いため、似たような内容の広告文だとクリックされる可能性が低くなるからです。
仮にクリックされたとしても、ランディングページの魅力が競合より劣るものであればコンバージョンの獲得はむずかしくなります。
「競合はどのようなランディングページを用意しているのか?」を確認し、いい部分を取り入れ、差別化を図れる部分を前面に出すなどの工夫が必要になります。
競合調査における分析ポイント
この項目では、競合調査でチェックすべきポイントについて紹介します。
- 出稿キーワード
- 掲載順位
- 広告の訴求内容
- ランディングページの構成・訴求内容
- インプレッションシェア
出稿キーワード
リスティング広告では、競合の出稿キーワードをチェックすることが重要です。
競合は自社と似たような商品やサービスを扱うため、自社と狙うキーワードが重複してしまうことがよくあるからです。
リスティング広告は掲載順位が高いほどクリックされる可能性が高まり、売上に繋がりやすくなります。
ですので、競合の方が自社よりも検索結果画面の上位に表示されている場合は、対処が必要になります。
対処法としては、競合との入札に勝つために入札単価を上げたり、あえて競争を避けて別のキーワードを狙ったりなどが考えられます。
掲載順位
掲載順位も、競合調査でチェックすべきものです。
広告のパフォーマンスを測るうえで重要な要素のひとつであるため、競合のリスティング広告運用の実力がはかれるからです。
競合の掲載順位は、Google広告では「オークション分析レポート」を利用するか、実際にキーワードで検索して検索結果画面を見て確認します。
オークション分析レポートでは、主に以下の内容をチェックすることが可能です。
- 自社広告が競合より上位に掲載されているか
- クリック率やコンバージョン率の変化に、競合の存在が関係しているか
- 自社広告が検索結果画面のどこに表示されているか
参照:オークション分析レポートでパフォーマンスを比較する – Google 広告 ヘルプ
広告の訴求内容
競合の広告の訴求内容をチェックすることも重要です。
自社の訴求内容を検討するとき、競合との差別化が大切だからです。
広告の訴求内容が似ていれば、見込み客を競合に取られてしまう可能性があります。
競合の訴求内容を確認するときは、特に掲載順位の高い、競合にとっての主力となる広告を参考にします。
競合が頼りにしている広告から強みやアピールしている要素、ターゲットに向けた表現方法などを調査・分析するのが効率的です。
調査・分析結果を参考に、競合とは異なる訴求や広告文を掲載できれば、競合たちの広告の中に埋もれない自社広告を出稿できるでしょう。
ランディングページの構成・訴求内容
競合のランディングページのチェックも重要です。
ランディングページは、リスティング広告をクリックしたユーザーが最初に訪問するWebサイトであり、企業にとってはお店ともいえるページだからです。
多くの売上を上げている競合は、「リスティング広告→ランディングページ→コンバージョン」という連携が非常にスムーズです。
売上を上げるための流れがしっかりしている競合のランディングページを参考にして、いい部分を取り入れることが大切です。
インプレッションシェア
「広告を表示できる回数の中で、実際に広告が表示された回数の割合」を示すインプレッションシェアも、競合調査でチェックすべき要素です。
「競合がどれくらい自社広告よりも上位に掲載されているか?」を数値で確認することが可能です。
「自社が入札単価を上げたときに、どれだけのユーザーに広告を表示できるか?」を見定める目安も確認できます。
Google広告では「オークション分析」で、Yahoo!広告では「オークションインサイト」で確認します。
Google広告のインプレッションシェアの算出方法は以下のとおりです。
「 表示回数 / 広告が表示可能だった合計回数」
参照:About impression share – Google Ads Help
参照:Get impression share data – Google Ads Help
参照:インプレッションシェアとインプレッションシェア損失率について【検索広告】 – ヘルプ – Yahoo!広告
リスティング広告の競合調査の手順|各工程で役立つツールも紹介
この項目では、リスティング広告で行う競合調査の手順と、それぞれの工程で便利に使えるツールを併せて紹介します。
- 【手順①】競合他社のリストアップ
- 【手順②】商品・サービスを調査
- 【手順③】広告の出稿状況の確認
- 【手順④】広告文・ランディングページを分析
- 【手順⑤】 競合他社との差別化ポイントを把握
【手順①】競合他社のリストアップ
まずは、調査したい競合をリストアップします。
具体的には、自社が提供する商品・サービスに関わりのあるキーワードで検索したり、自社が広告を出稿しているキーワードで検索したりして候補を選び出します。
リストアップ時の選定基準は以下のとおりです。
- 自社が狙うキーワードですでに広告を出している
- 商品やサービスの価格、内容が自社と似ている
- 商品・サービスの内容は似ているが価格は違うもの
- 自社の商品やサービスの代わりになるものを扱っている
上記の基準を基にGoogle広告とYahoo!広告の両方の媒体でチェックします。
パソコンやモバイルなど、複数のデバイスでもチェックし、比較サイトも忘れずに確認しましょう。
競合のリストアップでおすすめのツールが「Keywordmap」です。
日本の企業が提供しているので説明がわかりやすく、利用目的によって最適なプランを提供してくれ、無料トライアルで事前に操作感も確認できます。
リスティング広告における競合調査の経験や知識がなくても問題なく使えるため、初心者に優しいツールです。
ダウンロードの手間もなく、ブラウザ上ですべて完結できます。
競合のリストアップに役立つ機能は以下のとおりです。
- 競合のキーワードを抽出できる
- キーワードからリスティング広告の出稿数が多いWebサイトを抽出できる
- キーワードから競合の状況を確認できる
- キーワードから広告の掲載順位・想定費用などを確認できる
競合調査を初めて行う人や、短時間で調査・分析を行いたい人におすすめです。
Keywordmap(キーワードマップ)
機能紹介 – Keywordmap(キーワードマップ)
【手順②】商品・サービスを調査
次はリストアップした競合の商品やサービスを調べます。
調査する項目は以下のとおりです。
- 商品やサービスの提供価格
- 購入サイクル(サブスクリプション、リピート購入前提か?買い切りか?など)
- 競合商品、類似商品、代替商品との違い
- ターゲット(属性など)
- 商品やサービスの付加価値
- 販売実績
- 知名度(商品・サービスだけでなく競合企業の知名度も)
- 同業者・業界内での評判・専門性・権威性
- 購入時の支払い方法の数と種類
- ユーザーからの口コミや評価(外部サイトに寄稿される口コミなども)
上記の項目を参考に競合を調べ、自社の勝る部分と劣っている部分をピックアップし、最終的にどのような方法で自社商品やサービスを訴求するかを考えます。
競合の商品やサービスを調べるときに便利に使えるツールは「Dockpit」です。
Dockpitは、URLを入力するだけで競合サイトのアクセス状況や集客構造などを把握でき、ユーザーの属性情報も含めて詳細に分析できます。
競合のユーザー層をより詳細に分析したい人におすすめです。
Dockpit|競合も、業界も、トレンドもわかるリサーチエンジン|株式会社ヴァリューズ
【手順③】広告の出稿状況の確認
次は競合の広告出稿状況の確認です。
主な確認項目は以下のとおりです。
- 出稿キーワード
- 広告の掲載順位
- インプレッションシェア
出稿キーワードは関連キーワードで検索したり、先述のKeywordmapのようなツールを使ったりして調べます。
掲載順位は関連キーワードで検索する他、インプレッションシェアと同様にオークション分析やオークションインサイトで調査します。
競合の広告出稿状況を調べるときに便利なのが「similar Web」です。
海外のツールですが、一部、日本語対応しているページもあります。
無料版も提供されていますが、機能やデータを表示できる数などに制限があるため、使用感を確かめるためのものと考えるべきでしょう。
リスティング広告の競合調査では、主に以下の作業で役立ちます。
- 競合の広告クリエイティブ(広告のために用意する文章や画像など)の分析
- 競合の広告キャンペーン(※3)の分析
- リスティング広告へ流入しているキーワードの分析
- オーガニック検索(通常の検索)からの流入キーワード分析
※3「広告キャンペーン」
”広告を管理する単位。 入札単価や予算、ターゲットなどの広告運用の基礎部分を設定する”
無料版は機能制限やログインユーザー数の制限があるため、本格的に使いたいなら有料版の購入が必須です。
一定のコストを覚悟してでも、競合の広告出稿状況や競合サイトのアクセス解析を行いたい人におすすめです。
競合、市場、マーケティングチャネルの分析プラットフォーム | シミラーウェブ
Digital Marketing Intelligence | Similarweb(デジタルマーケティング最適化に必要なすべての機能を網羅)
【手順④】広告文・ランディングページを分析
次は競合の広告文やランディングページを分析します。
広告文は見出し・説明文・広告表示オプション(※4)で構成されています。
※4「広告表示オプション」
”タイトルや説明文などに記載しきれない付加情報を広告の下部に表示する機能”
広告文を分析すれば、競合が狙っているターゲットやアピールしたいポイントを確認できるので、競合との差別化に役立つでしょう。
ランディングページ分析では、ターゲットや訴求の内容、訴求の表現方法、購入者に提供する特典などを確認します。
競合のランディングページを参考にいい部分は取り入れ、自社と似ている部分は違うアプローチを検討しましょう。
競合の広告文やランディングページを分析するときに役立つのが「Semrush」です。
海外のツールですが日本語版のページも提供されており、14日間の無料トライアルもあるので操作感を確かめてから導入を検討できます。
リスティング広告の競合調査では、競合の出稿キーワードや広告文、ランディングページなどの分析が可能です。
ただ、機能が充実している分、利用料金が割高に感じられるところがデメリットです。
リスティング広告での競合分析だけに利用するには、機能面でも料金面でも使いづらいと感じる可能性があります。
Semrushは、リスティング広告運用時の競合分析だけでなく、自社サイトのSEO対策でも役立ちます。
Semrush(オールインワン競合分析ツール)
機能一覧 | Semrush 日本 | オールインワン競合分析ツール
【手順⑤】 競合他社との差別化ポイントを把握
最後に、自社と競合の商品・サービスをくらべて差別化できる部分を探します。
具体的には、自社の強みや弱みをピックアップし、これまでに調査した競合の強みや弱みと比較して差別化できるところを見つけます。
差別化ポイントを探すときは、「3C分析」や「ファイブフォース分析」を使うのがおすすめです。
3C分析では、マーケティング環境の分析が可能です。
「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの観点からマーケティング環境を分析できます。
ファイブフォース分析は自社にとっての脅威を5つピックアップし、競合や業界の状況と収益構造を明らかにしたうえで、自社に必要な戦略や戦術を考えます。
ファイブフォース分析でピックアップする5つの脅威は以下のとおりです。
- 同業界の競合の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
ファイブフォース分析は競争要因となる5つの脅威を分析することで、マーケティング戦略を考えるときに必要となる市場の状況を確認できます。
競合調査したデータの活用方法
この項目では、競合調査で得たデータを活用する方法について紹介します。
- 広告文・ランディングページの改善
- 出稿キーワードの拡張
- 入札戦略の見直し
- 出稿する媒体の検討
広告文・ランディングページの改善
調査したデータは、自社の広告文やランディングページのブラッシュアップに役立てましょう。
広告文でブラッシュアップできそうな部分を挙げると以下のとおりです。
- 競合より勝る部分を差別化ポイントとしてアピール
- 競合の文章表現で魅力的と感じる部分を取り入れる
- 競合の広告オプションの使い方を参考にする
ランディングページでブラッシュアップできそうな部分を挙げると以下のとおりです。
- 競合と差別化できる付加価値や提供できる特典などをアピール
- 競合の表現方法で効果のありそうなものを取り入れる
- 入力フォームや商品ページのレイアウトなど、競合のUIのいい部分を参考にする
競合に訴求の部分で勝てないときは、自社の強みや差別化できる部分を重点的にアピールしましょう。
出稿キーワードの拡張
調査したデータは、出稿キーワードを考えるときにも活用できます。
具体的には、広告のインプレッションや掲載順位が競合に負けているとき、キーワードの部分一致を利用したり、関連キーワードを追加したりなどの工夫をすることです。
広告パフォーマンスが強い競合と同じキーワードで広告を出稿すると、クリック単価が高くなり、顧客を獲得するための費用も高くなってしまいます。
結果的に費用対効果も悪化してしまうため、おすすめできません。
強力な競合がいるキーワードはあえて避け、競合性の低いキーワードを狙って広告を出稿すればユーザーの目にも留まりやすくなります。
うまく嚙み合えば、広告費用を抑えつつコンバージョン数を増やすことも可能です。
入札戦略の見直し
自社の入札戦略の見直しでも、競合調査で得たデータは役立ちます。
いくつか例を挙げると以下のとおりです。
- 狙いたいキーワードで競合が強い場合、あえてそのキーワードの入札単価を低くして他のキーワードの入札単価を上げる
- Google広告の目標インプレッションシェア(※5)の機能を利用して広告のインプレッション数を伸ばす
※5「目標インプレッションシェア」
”Googleのリスティング広告で最上部や上部、または任意の場所に広告を表示するように自動的に入札単価を調整する機能”
目標インプレッションシェアは、常にユーザーに見せておきたい広告があるとき、非常に便利に使えます。
参照:About Target impression share bidding – Google Ads Help
出稿する媒体の検討
「広告を出稿する媒体そのものを変更するかどうか?」を決めるときも、競合調査のデータを活用できます。
競い合うべき競合が強過ぎる、もしくは強い競合が多過ぎるといったケースが該当します。
わかりやすい例として、強い競合がひしめくGoogle広告でなく、強い競合が比較的少ないYahoo!広告をメインの媒体に選ぶケースです。
またリスティング広告そのものから撤退して、ディスプレイ広告やSNS広告の利用を検討するケースも考えられます。
レッドオーシャンを避けてブルーオーシャンな媒体を選ぶのも戦略として有効です。
まとめ
リスティング広告運用における競合調査は、ポイントを踏まえて正しい手順で行う必要があります。
調査を行うときは、各広告媒体で用意されている便利な機能や便利なツールを活用すれば効率よく実行できるでしょう。
ツールは有料でないと使えないものも多いですが、調査にかかるリソースを考えると導入すべきといえます。
競合調査で得たデータはさまざまな目的で活用できます。
本記事で紹介している内容を参考に、ぜひ御社のリスティング広告運用に役立ててください。
弊社は、Google広告、Yahoo!プロモーション広告の代理店として広告運用しております。
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