オウンドメディアとは?種類やメリット等をわかりやすく解説
昨今、自社の商品やサービス等を広く知らせるためにオウンドメディアの運用を始める会社が増加傾向になります。
本記事では、オウンドメディアについて、わかりやすく説明させていただきます。
オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業や個人が所有・管理している媒体(メディア)のことを指します。所有・管理しているメディアであれば、オンラインとオフライン問わず、オウンドメディアに分類されます。
オウンドメディアの種類を、オンラインとオフラインに分類して挙げると、以下のように様々です。
オンライン…自社メディア、コーポレートサイト、Webサイト、ホームページ、ブログ、Youtube、メールマガジン、DM,スマホアプリ
オフライン…自社発行の月刊・季刊誌、カタログ、パンフレット、チラシ、リーフレットショップカード、自社主催のセミナー・イベント
以上のように、オウンドメディアは広義を意味します。ですが、一般的には企業が運営するウェブマガジンやブログをオウンドメディアと呼び、狭義の意味で使われています。
オウンドメディアとトリプルメディア
オウンドメディアは、トリプルメディアの1つです。
トリプルメディアとは、以下メディアのことを指し、マーケティング活動における、ユーザーへの接触手段を大きく3つに分けたものです。
・オウンドメディア(Owned Media)
・アーンドメディア(Earned Media)…個人が発信するメディア 例:フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、個人ブログ等
・ペイドメディア(Paid Media)…費用を支払って出稿するメディア 例:リスティング広告、テレビCM等
従来、企業は広告(=ペイドメディア)を中心に、宣伝を行ってきました。しかし現在は、ツイッターやインスタグラム等のSNS(=アーンドメディア)や自社サイト(=オウンドメディア)も利用する、トリプルメディアで宣伝を行っていくことが大切と考えられています。
オウンドメディアが注目されている理由
なぜオウンドメディアが注目されているのでしょうか。それには大きく2つの理由が考えられます。
【理由①】ユーザー行動の変化
まず、ユーザー行動の変化が挙げられます。
2018年に情報通信メディアが調査した「主なメディアの平均利用時間」のよると、年代別で以下のようなデータになりました。
10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 全世代 | |
テレビ(リアルタイム) | 113.8分 | 157分 | 167.9分 | 189.8分 | 199.8分 | 271.3分 | 197.5分 |
テレビ(録画) | 83.3分 | 113分 | 91.2分 | 107.5分 | 101分 | 138.1分 | 108.6分 |
インターネット | 188.1分 | 163.9分 | 121.6分 | 137.5分 | 127.2分 | 103.2分 | 137.0分 |
新聞 | 12.9分 | 22.3分 | 22.9分 | 20.8分 | 29.4分 | 43.7分 | 32.5分 |
ラジオ | 15分 | 120分 | 218.6分 | 224.4分 | 185.8分 | 194.9分 | 198.6分 |
引用元:https://www.soumu.go.jp/main_content/000644166.pdf
10、20代は、テレビのリアルタイム視聴よりインターネットの利用時間の方が長いです。また、10~40代に限定して平均時間を割り出すと、テレビのリアルタイム視聴よりインターネットの利用時間の方が長いです。若い世代のテレビ離れを物語る結果となりました。
従来は、テレビが主なメディアでした。ですので、大勢の人に企業のメッセージを届けるには、テレビへの広告出稿が最適な手段でした。しかし、既出のデーから分かるように、ユーザー行動が変化しています。従来の方法が大勢の人にメッセージを届ける最適な手段とは言えなくなっているのです。
そのような背景から、インターネットを通してメッセージを届ける企業が増えています。
そこで、オンラインで情報を発信出来るオウンドメディアが注目されるようになっているのです。
【理由②】費用の最適化
次いで挙げられるのが、費用の最適化です
従来のメインの広告手段であったテレビ・新聞は、1度の出稿で大勢にメッセージを届けることが出来るメリットがありました。その一方で、顧客になる可能性が低い属性の方へもメッセージを届ける等、広告費に見合った効果があったかどうかが不透明な面がありました。
一方で、オウンドメディアは、自社のコンテンツに関心を持ったユーザーがアクセスするため、顧客になる可能性が比較的高い上に、テレビ・新聞の広告のような費用がかかりません。
効果に対する費用が最適化されるという期待を背景に、オウンドメディアは注目されているのです。
企業がオウンドメディアを運用する目的
以上の理由があることからオウンドメディアを運用する企業は増加傾向にあります。それだけでなく、企業は、一般的に以下のような目的を果たすためにオウンドメディアを運用しています。
【目的①】新規顧客の獲得
企業は新規顧客を獲得することを目的にオウンドメディアを運用しています。
製品・サービスが充実しているだけでは、新規の顧客を獲得出来るとは限りません。そこで、オウンドメディアで情報発信することで、潜在顧客の悩みや疑問にアプローチ出来ます。それが新規顧客の獲得に繋がるのです。
【目的②】製品・サービスのファンを増やす
製品・サービスを好きになってもらうことも、オウンドメディアを運用する目的に挙げられます。
オウンドメディアでは、コラム等のコンテンツを配信出来ます。そこで、製品・サービスへの「思い」等の情報を、ふんだんに詰め込みます。
そのようにすることで、ファンを増やし、購買行動に繋げられる可能性が生まれるのです。
【目的③】長期的な資産の確保
長期的な資産の確保もオウンドメディアを運用する目的に挙げられます。
従来の情報発信のメインであったペイドメディアは、大衆に認知されるメリットがありました。しかし、広告を止めると情報発信が出来なくなる側面があったため、資産として残すことが出来ませんでした。
対して、オウンドメディアはコンテンツをサイト内に確保することが可能です。そのため、長期的な資産として効果を発揮させられるのです。
オウンドメディアのメリット
では実際にオウンドメディアを運用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。オウンドメディアを運用するメリットは以下が挙げられます。
【メリット①】初回接触が増える
まず、初回接触が増えるメリットが挙げられます。
製品・サービスが充実しているのみでは、新規の顧客を獲得出来るとは限りません。そこで、情報発信するためのオウンドメディアを運用して、集客するための初回接触を増やすのです。
【メリット②】ブランディングが出来る
オウンドメディアの運用は、企業のブランディングに繋がります。
例えば、オウンドメディアで良質のコンテンツを定期的に掲載するとします。となると、ユーザーは「こんなにいいコンテンツを提供してくれるなら、きっといい企業なのだろう」と好感を持つ可能性があります。
【メリット③】広告費のカット
広告費のカットを期待出来るのも、オウンドメディア運用のメリットに挙げられます。
従来は、ユーザーとの長期的な関係を築くために定期的に広告を出していました。そのため、広告費に膨大な費用がかかっていました。
しかし、オウンドメディアを運用すれば、コンテンツの定期配信等でユーザーと長期的な関係を築くことが可能です。それが実現されれば、広告費のカットが適うのです。
【メリット④】コンテンツマーケティングが出来る
オウンドメディアではコンテンツマーケティングが出来ます。
コンテンツマーケティングとは、コンテンツの配信を通してユーザーと関係性を高めることをいいます。
コンテンツマーケティングは、ユーザーと中長期的な関係性を築くことが出来ます。
【関連記事】コンテンツマーケティングとは?メリットや種類等を簡単に解説
オウンドメディアを運用するデメリット
以上のようなメリットをもたらすオウンドメディアですが、一方でデメリットもあります。主に以下のデメリットが挙げられます。
【デメリット①】成果が出るまで時間がかかる
オウンドメディアの運用を開始してから、成果が出るまで時間がかかることがデメリットに挙げられます。というのも、オウンドメディアを開始直後は、検索上位に表示されない等の理由で、ユーザーに閲覧してもらえる機会が少ないです。
オウンドメディアは、中長期的な運用を行う必要があります。
【デメリット②】運用のハードルが高い
オウンドメディアの運用は、ハードルが高いのがデメリットです。
オウンドメディアの運用でユーザーと継続的な関係を築くためには、興味を惹くような良質なコンテンツが欠かせません。
良質なコンテンツを継続して配信するためには、ライティング力や編集力が必要になります。誰もが出来るとは限りません。そのため、社内のリソースがなければ運用は難しいのです。
オウンドメディアの運用成功事例
では、実際にオウンドメディアを運用して成功に導いている企業の事例を紹介いたします。
【事例①】SO Technologies株式会社
SO Technologies株式会社は、オウンドメディア「LISKUL」を運用し、集客を増やしています。「LISKUL」では、中小企業に向けてWebマーケティングの関するノウハウが公開されています。
「LISKUL」は、アクセス数が『月間平均80万PV』(『https://www.sedesign.co.jp/blog/owndmedia_zirei#:~:text=%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%AF%E8%87%AA%E7%A4%BE,%E3%82%82%E6%9C%89%E5%8A%B9%E3%81%AA%E6%89%8B%E6%AE%B5%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82』)あり、問い合わせ件数は月200件にまで増加しました。
自社のノウハウを公開することは一見不利益を被る行為に見えます。しかし、それを行うことで集客に繋げることが出来ています。
【事例②】株式会社メルカリ
フリマアプリ「メルカリ」を運営していることで知られる株式会社メルカリは、自社の採用活動に繋げるためのオウンドメディア「merucan(メルカン)」を運用しています。
「merucan(メルカン)」では、転職希望者とのミスマッチを減らすことを目的に、メルカリに転職した社員の生の声を届けています。アクセス数は月間平均3万PVあり、人事系のブログとしても人気を博しています。
【事例③】株式会社BAKE
スイーツメーカーの株式会社BAKEは、スイーツだけでなく、企業に興味を持ってもらうために、ブランディングに力を入れています。そこで、オウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」の運用をスタートさせました。
「THE BAKE MAGAZINE」では、競合他社の商品が紹介されています。一見、自社に不利になると考えられます。しかし、それはスイーツ好きの人にとっては有益な情報になります。
このようにユーザーファーストのコンテンツを配信することで、ファンの獲得に繋がり、企業のブランディングに結びついてます。
オウンドメディアを始めるための7ステップ
最後に、オウンドメディアを始めるための7ステップをお伝えします。
【ステップ①】目的設定
始めにオウンドメディアを運用する目的を決めます。目的によって制作するコンテンツが異なってくるためです。例えば、「新規顧客の開拓」や「リピーター客の増加」等の目的が挙げられるでしょう。
【ステップ②】ペルソナ設定
次いで、どのような人に向けて情報を発信するのかを設定します。そのことをペルソナ設定と呼びます。
【ステップ③】カスタマージャーニー設計
カスタマージャーニー設計を行います。
カスタマージャーニー設計とは、顧客の行動や思考、感情など、商品・サービスを購入に至るまでのプロセスを可視化することをいいます。
【ステップ④】チャネル設計
チャネルとは、集客するための媒体・経路のことを指します。オウンドメディアにアクセスさせるための媒体・経路を考えます。
例えば、ターゲットが20代女性とします。その場合、多くの20代女性が利用するインスタグラムをチャネルに指定するのが一案です。
【ステップ⑤】コンセプト設計
コンセプトの設計を行います。
自社の強み等を基にコンセプトを設計することで、オウンドメディアに統一感が生まれます。
【ステップ⑥】コンテンツ方針設計
コンセプトが決まったら、コンテンツの制作にかかります。そのまえにコンテンツの方針を設計します。方針を決めることでコンテンツにも統一感が生まれます。
【ステップ⑦】サイト・コンテンツ制作
コンテンツ方針の設計を行った後は、いよいよサイトとコンテンツの制作に取り掛かります。