【失敗したくない方へ】広告代理店の選び方と注意点を解説
自社に合うWeb広告代理店の選び方にはいくつかのポイントがあります。
このポイントをおさえておかないと、広告運用で何の成果も得られない可能性があるので注意が必要です。
本記事では、広告代理店に依頼する前に決めておくべき内容と選ぶポイントを10個紹介します。
また、代理店に依頼するメリット・デメリット、代理店を選ぶ際の注意点なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
広告代理店に依頼する前に決めておくべきこと
まず、広告代理店に依頼する前に決めておくべきことを紹介します。
- 広告の運用目的
- KPI(重要業績評価指標)の設定
広告の運用目的
まずは、広告の運用目的を決めます。
運用の目的が曖昧な状態だと運用方針が常にブレることになり、判断も場当たり的になるからです。
代理店との打ち合わせでも明確な要望を伝えられないので自社のニーズが伝わりにくく、「こういう運用を望んでいたわけじゃないのに…」という状態にもなりかねません。
目的が明確であれば運用におけるゴールも明確なので、運用後の効果測定や分析、改善もスムーズに進められます。
最短で運用成果を得るためにも、広告の運用目的は明確に決めておきましょう。
KPI(重要業績評価指標)の設定
広告運用では、KPI(重要業績評価指標)の設定も重要です。
KPIとは、運用における最終目的を達成するために必要な中間目標の指標で、KPIを達成していけば自然と最終目的が達成されるような形で設定します。
そのため、誤った数値や目標をKPIに設定すると、広告運用で一定の効果は出せても最終目的の達成からは遠ざかる可能性があります。
結果、自社の事業にまったくメリットのない状態で終わってしまうことにもなりかねません。
適切なKPI設定には、LTV(顧客生涯価値)(※1)の視点を持つことが重要です。
※1「LTV(顧客生涯価値)」
”顧客が自社の商品の購入を始めてから購入しなくなるまでの間に、その顧客からどれだけの利益を得られるか表す指標。取引が1回で終わるケースよりも2回目以降も継続する方がLTVは高まる”
たとえば、一回の購入単価が高くリピートの少ない商材を扱う場合、コストが利益を上回らなければコンバージョン数をKPIに設定しても問題ありません。
しかし、コンバージョン数だけをKPIに設定すると支障が出る可能性があります。
とくにリピート率の高い商品は、最初の購入に至るコストが高くても、二回目以降の購入から広告を通さずにリピートされれば継続的に利益を得られるからです。
つまり、KPIをコンバージョン数に設定してしまうと、リピート購入に至る1回目の購入のみがカウントされるので損をしているように見えます。
これらのことから、KPIの設定では LTVの視点をもって決めることが重要になります。
広告代理店を選ぶ際のポイント
この項目では、広告代理店を選ぶときのポイントを紹介します。
- 【ポイント①】最低予算
- 【ポイント②】広告費の支払いのタイミング
- 【ポイント③】運用担当者の実績
- 【ポイント④】対応している広告媒体
- 【ポイント⑤】認定資格の有無
- 【ポイント⑥】担当者の案件数
- 【ポイント⑦】アカウント開示の可否
- 【ポイント⑧】レポート報告の頻度と質
- 【ポイント⑨】契約期間
- 【ポイント⑩】広告クリエイティブの質
【ポイント①】最低予算
ポイントのひとつ目は、最低予算です。
代理店に依頼するときに必要になる広告の最低予算は代理店によって異なります。50万円以上必要とする代理店が多いですが、数万円でも運用してくれる代理店もあります。
この金額の差は、扱う広告媒体の数とサービスの幅です。
広告予算がおさえめの代理店は扱う広告媒体が少なく、提供されるサービスも限定的なことが多いです。
対して、広告予算が高めの代理店は扱う広告媒体が多彩で、提供されるサービスの幅も広い傾向にあります。
ただ、「扱う広告予算が大きい代理店=良い代理店」という訳ではないことに注意が必要です。
自社が求める代理店はどちらのタイプかを見極め、要求される最低予算を用意できるかどうかなども含めて、依頼する代理店を検討する必要があります。
【ポイント②】広告費の支払いのタイミング
広告費の支払いのタイミングも重要なポイントです。
代理店による広告運用では、広告費を一時的に代理店が立て替えてくれるケースと先に納める必要があるケースに分かれます。
立て替えてもらえるケースでは、すぐにまとまった金額を用意しなくていいのがメリットです。
逆に先払いのケースでは、依頼時にまとまった金額の広告費を用意する必要があります。
どちらのタイプの代理店を選ぶかは、自社のキャッシュフローなどを考慮して決めましょう。
【ポイント③】運用担当者の実績
運用担当者の実績も重要なポイントです。
代理店としての実績は豊富でも、そこに所属する運用担当者の実績や経験が豊富であるとは限らないからです。
実際の運用担当者の実績や経験が乏しければ、費用対効果の高い広告運用は望めません。
そのため、運用担当者の実力を測るために以下の内容を質問してみましょう。
- 実際に自社を担当する運用担当者の運用歴
- これまで経験してきた業界
- 過去の具体的な改善実績
- 出稿経験のある広告媒体
可能であれば、多くの媒体を扱えて、自社の商材と相性の良い複数の広告媒体を適切に組み合わせてくれる担当者がいる代理店を選びましょう。
【ポイント④】対応している広告媒体
対応している広告媒体も、重要なポイントです。
依頼する側としては、多くの手法や媒体に対応してくれる代理店の方が、集客施策における選択肢が多くなるからです。
ただ実際、運用担当者や代理店には得意な媒体や苦手な媒体、扱った実績が少ない媒体などもあります。
そのため依頼前に、「自社の目当ての広告媒体は取り扱っているか?」や「得意としているか?」「実績はどうか?」などを確認しましょう。
また、合わせて苦手とする媒体や実績の少ない媒体なども確認しておくと安心です。
加えて、商材に合わせて複数の媒体を適切に組み合わせることができるかどうかも確認しておくとなお良いでしょう。
【ポイント⑤】認定資格の有無
認定資格の有無も重要なポイントです。
広告運用では、「Google広告認定資格」や「Yahoo!プロモーション広告 プロフェッショナル認定資格」といった、広告媒体が認定している資格があります。
これらの資格を持っていることは、代理店の運用担当者の向上心が高いことを示し、広告運用や媒体に関する知識を更新している証拠といえます。
そのため、代理店や運用担当者の実力を測る一環として、資格の有無を質問するのは有効な手段です。
【ポイント⑥】担当者の案件数
担当者が抱える案件数も重要なポイントです。
担当者が自分のキャパシティを超える案件数を担当している場合、アカウントの運用や分析がおざなりになる可能性があるからです。
過剰といえる案件の数は、それぞれの担当者のスキルや経験によって異なります。
しかし、一般的に考えてあまりにも多過ぎると感じたときは、運用担当者が1社あたりの運用や分析に使っている時間配分を確認してみましょう。
その結果、少ないと感じるなら依頼は見合わせるべきといえます。
また、取引している広告主の数と代理店に所属している運用担当者の人数を確認すれば、担当者一人あたりが抱える案件数の平均を割り出せます。
【ポイント⑦】アカウント開示の可否
広告アカウントの開示可否も重要なポイントです。
代理店による広告運用代行では、ノウハウの漏洩防止などを理由に運用内容を見せてくれないケースがあります。
このようなケースでは、運用がうまくいっているときは良いですが、運用成果に不満があるときなどは代理店への信頼が揺らぎます。
場合によっては、契約継続が困難になるくらいの不信感が生まれることもあるでしょう。
広告アカウントは閲覧権限だけを付与することも可能です。
透明性の高い広告運用を望むなら、アカウントの開示可否について確認してみましょう。
【ポイント⑧】レポート報告の頻度と質
レポートの報告頻度と質も重要なポイントです。
頻度と質は、代理店の方針や支払う広告費・運用手数料の額、レポートの提供がオプション扱いであるかどうかなどによって大きく異なります。
そのため、まずは自社が求める報告頻度と質の内容を明確にし、それを満たすにはどのようにすればいいかを代理店に確認しましょう。
「広告費や手数料によって変わるならいくらであれば提供してくれるのか?」や「オプションなら費用はいくらかかるのか?」などを事前に確認しておくのがおすすめです。
【ポイント⑨】契約期間
契約期間も重要なポイントです。
契約期間は広告の運用代行期間とも考えられるので、最終的な運用成果に大きく影響します。
また、代理店の運用に不満があって解約したいときも、契約期間の途中であれば違約金が発生することもあります。
契約期間中に毎月かかる固定費などが発生するケースもあるため、契約期間に関する確認は非常に重要です。
そのため、最低限、必要となる契約期間や途中解約による違約金の有無などを確認しておきましょう。
ちなみに多くの代理店では、まず1~6ヶ月の間で最初の契約期間を設定し、以降はどちらかの解約の意思表示がない限り契約を自動で更新するパターンを採用しています。
【ポイント⑩】広告クリエイティブの質
広告クリエイティブの質も大切なポイントです。
代理店のクリエイティブ制作に関するスキルのレベルはもちろん、変更や改善の頻度も重要な要素です。
特に運用がうまくいっていない状態なのにクリエイティブの変更も改善も行わない、もしくは変更・改善のスピードが遅いような代理店は避ける必要があります。
このような代理店に依頼しても、自社が望む成果は得られないからです。
特にリスティング広告の運用では、広告文の内容や添付する画像などをユーザーの反応を見ながら微調整することが大切になります。
広告代理店に依頼するメリット・デメリット
この項目では、広告代理店に依頼するメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
- メリット
- デメリット
メリット
広告代理店に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 作業時間の削減(初期設定から分析作業までまかせられるので、自社のリソースを有効活用できる。運用経験の浅い企業がよくやる設定ミスなども防げる)
- 広告代理店のノウハウ・ナレッジを活用できる(豊富な実績と経験を活かして効率のよい運用を行ってくれる)
- 最新情報を反映した運用が可能(業界・媒体の最新情報を迅速にキャッチアップし、それらをスピーディーに施策に反映してくれる)
広告代理店に依頼すると、運用に関する作業を経験豊富なプロにすべてまかせられるので、自社のリソースを有効活用できます。
デメリット
広告代理店に依頼するデメリットは以下のとおりです。
- 費用が必要(一般的な手数料は広告費の20%が相場だが、定額制を採用している代理店もある)
- 自社ターゲットのニーズとズレた運用が行われるリスクがある(代理店の業界・商材への理解不足、能力不足などによってニーズに合わない運用が行われる危険性がある)
- 自社のノウハウが蓄積されない(すべてを代理店にまかせるとノウハウやデータが自社に蓄積されない。契約終了時にはすべてのデータが失われるリスクもある)
広告代理店への依頼を検討するときは、上記のデメリットを十分に理解しておきましょう。
「インハウス」と「広告代理店」
インハウスで広告運用する場合と、広告代理店に運用代行を依頼する場合の違いは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
広告代理店 | ・自社で知見が必要ない ・最新情報をキャッチできる | ・手数料がかかる ・社内にノウハウが蓄積されない |
インハウス | ・コストをおさえられる ・明確な意思疎通ができる | ・知見のある担当者が必要 ・最新情報をキャッチしづらい |
広告代理店に依頼する場合、手数料などの費用はかかるものの、代理店の持つ豊富な知見や経験を自社の広告運用に活かせます。
インハウスでは運用コストをおさえられるものの、広告運用のノウハウを持つ担当者の確保が必須になります。
また、最新情報が手に入りにくいのもデメリットです。
迷った際は、用意できる予算と自社にノウハウのある人材がいるかどうかで判断しましょう。
弊社では、広告運用の伴走型コンサルティングも行っています。「マーケティング人材はいるけれど、広告運用はあんまり・・」といったお悩みをお持ちの方は検討してみてください。
広告代理店を選ぶ際の注意点
この項目では、広告代理店を選ぶときの注意点を紹介します。
- 初めて依頼する場合
- 代理店を乗り換える場合
初めて依頼する場合
広告代理店に初めて依頼する場合、手数料だけで比較しないようにしましょう。
手数料が低いからといって、その代理店がベストだとは限らないからです。
手数料が高くても、コンバージョン1件あたりの獲得効率が高い代理店を選べば、費用対効果の高い運用が可能になります。
逆に手数料の低さだけでコンバージョンの獲得効率の悪い代理店を選んでしまうと、最終的なコストが高くなり過ぎる危険性があります。
良い代理店を選ぶためには、複数の代理店の話を聞くことが重要です。
複数の代理店の提案を吟味することで、自社にとって最適な代理店選びの軸や重視する点もわかってきます。
複数の代理店の話を聞いた上で、自社の代理店選びの軸や重視する点を満たす代理店があったら依頼するのがおすすめです。
代理店を乗り換える場合
代理店を乗り換える場合の判断基準や注意点は以下のとおりです。
- 対応が遅い(広告文の入稿などに2営業日以上かかる場合や、指定した締め切りを守らない場合などは乗り換えを積極的に検討すべき)
- ミスが多い(ダブルチェックなどのチェック体制が機能しておらず、広告文の入稿やレポート集計でミスが多発するなら乗り換えを検討すべき)
- 提案・情報共有がない(運用代行のみに対応し、より良い運用や成果を出すための提案や情報共有がされないなら乗り換えを検討すべき)
- 運用成果が悪いときは慎重に(成果が出ないことが外部要因に起因する可能性もあるため、要因をしっかり分析してから乗り換えを検討する)
代理店の乗り換えを検討する際は、運用成果だけでなく、広告代理店の姿勢を評価することが大切です。
広告代理店が広告主のために改善に取り組んでいるかや、分析・改善などを積極的に行っているかなどに注目しましょう。
成果が出ないのは、市場の状況やトレンドが影響していることも多いです。
そのため、乗り換えの検討は慎重に行いましょう。
代理店の乗り換えのタイミングや注意点は以下の記事にまとめていますので、ご一読ください。
「リスティング広告代理店を乗り換えたい!タイミングと注意点・新しい代理店の選び方を解説」
広告代理店を選ぶ際のチェックリスト
広告代理店を選ぶ際のチェックポイントは以下のとおりです。
チェック内容 | 〇/× |
---|---|
最低予算は自社の許容範囲か | |
広告費の支払いタイミングに問題はないか | |
運用担当者の実績は十分か | |
対応している広告媒体に不満はないか | |
運用担当者は認定資格を保有しているか | |
運用担当者の担当件数は過剰ではないか | |
アカウントは開示してくれるか | |
レポートの頻度と質に不満はないか | |
契約期間に問題はないか | |
広告クリエイティブの質に不満はないか |
まとめ
広告代理店を選ぶときは、事前に運用目的を明確にしてKPIを設定しておきましょう。
そして実際に選ぶ際は、本記事で紹介したポイントを参考にしながら検討してみてください。
また、インハウス運用と広告代理店の運用代行のどちらかに迷っているなら、まずはインハウスで試すことをおすすめします。
インハウスで試すことで、広告運用で自社に足りない部分やニーズも明確になるからです。
仮にインハウスでうまくいかずに代理店に依頼することになっても、最初から運用代行を利用するケースよりも、広告運用に対する理解は深まっているでしょう。
世の中にはたくさんの広告代理店があります。
弊社は、リスティング広告をはじめとするWeb広告の運用や、SEO対策などを得意としております。
リスティング広告の運用代行をお考えの方は、弊社への依頼を視野に入れていただけるとうれしいです。