Google広告のA/Bテスト実施ガイド|準備・設定・分析まで徹底解説
A/Bテストは、広告のパフォーマンスを改善するために必要な施策を見つける手法です。
複数ある改善策を一度にテストして比較し、結果がもっともよかった施策を採用できるので、広告内容をカスタムして最適化しやすい施策です。
本記事では、Google広告のA/Bテストの基礎知識やメリット、具体的な実施方法、実施するときのポイントなどについて紹介します。
Google広告のA/Bテストとは
Google広告のA/Bテストは、広告の内容やLP(ランディングページ)の要素を変更したものを複数パターン用意し、同じタイミングで出稿して得られる成果を比較する手法です。
パフォーマンスがよい広告要素を特定し、それらを採用することで広告効果の最大化を目指します。
リスティング広告の広告文のA/Bテスト例を挙げると以下のとおりです。
A=【本日午後5時まで】冬物アウターセール実施中!
B=【ただいま2割引きクーポン配布中】冬物アウターセール実施中!
AとBのどちらがユーザーにクリックしてもらえるかをテストします。
Google広告のA/Bテスト|2つの実施方法
この項目では、Google広告でA/Bテストを行うときの実施方法を2つ紹介します。
- 下書きとテスト
- 広告バリエーション
下書きとテスト
ひとつ目は、もともと使っていた広告キャンペーン(※1)をコピーして再利用する方法です。
リスティング広告でもディスプレイ広告でも下書きとして使えます。
※1「広告キャンペーン」
”広告を管理する単位。予算・広告ターゲットなどを設定する。キャンペーンの中にさらに広告グループを作って、広告・キーワード・入札単価などを設定する”
すでにあるキャンペーンを再利用するので新たに用意する必要もないため、初心者でも簡単に実施できます。
広告バリエーション
二つ目は、広告文のテストに焦点を当てた「広告バリエーション」です。
広告の見出し部分や本文のパフォーマンスをテストするときに使われ、それぞれの広告キャンペーンの広告文を簡単に紐づけできます。
テキストの違いによって広告のパフォーマンスがどのように変わるかを効率よくテストできます。
Google広告のA/Bテストを実施するメリット
この項目では、Google広告でA/Bテストを実施するメリットを紹介します。
- 【メリット①】手軽に実施できる
- 【メリット②】コンバージョン率が向上する
- 【メリット③】LPの改善に役立つ
【メリット①】手軽に実施できる
A/Bテストを実施するメリットとして、手軽に実施できることが挙げられます。
よいアイディアを思いついたらすぐに実行でき、期間も1週間程度が目安なので、スピード感を持って広告パフォーマンスを改善できます。
【メリット②】コンバージョン率が向上する
コンバージョン率を効率よく向上させられるのもA/Bテストのメリットです。
コンバージョンに影響を与えそうなアイディアや改善案を思いついたとき、現行のパターンと新しいパターンを同時に出稿して両方のパフォーマンスを比較できます。
「現行パターンの結果がよいならそのまま続行し、新しいパターンの結果がよいなら変更する」という判断を、数値を根拠にして行うことが可能です。
ランディングページのA/Bテストでは、ユーザーがコンバージョンに至りやすい導線を構築できます。
【メリット③】LPの改善に役立つ
ランディングページの改善を行う前にA/Bテストを行ってユーザーの行動傾向を知っておけば、効率よく無駄のない作業が可能です。
ランディングページのリニューアルには多くのコストがかかるため、改善案を検討しながら作業すると時間も費用も浪費してしまいます。
事前にテストを行って作業内容を明確にしておけば、コストパフォーマンスのよい改善作業ができます。
【準備】Google広告のA/Bテストを実施する方法
この項目では、Google広告でA/Bテストを実施するときの準備について紹介します。
- 1.目的を明確にする
- 2.仮説を立てる
- 3.予算を決める
1.目的を明確にする
A/Bテストをはじめる前にやるべきことは、テストの目的をはっきりさせることです。
テストの目的によって審査する項目や分析するポイントが大きく変わるからです。
たとえば、テストの目的が認知度に関するものなら、広告文の違いによるクリック率などに注目します。
テストの目的がコンバージョンの獲得に関するものなら、ランディングページの入力フォームやボタンの位置、色などに注目する必要があるでしょう。
「何を改善したくてテストを行うのか?」を最初に決めて方向性を定めることが大切です。
2.仮説を立てる
A/Bテストは仮説を立てて行うことが重要です。
仮説を立てれば、試行錯誤による余計な作業をせずに済むため、スピーディかつ集中してテストを行えます。
また、立てた仮説と結果をしっかり検証した上で導き出した答えは、より強い説得力を持ちます。
「なんとなくテストを行って、たまたまAの結果のほうがよかったからAを採用する」というような曖昧な判断は避けましょう。
3.予算を決める
A/Bテストでは実際に広告を出稿してテストするため、予算をどれくらいかけるかを決める必要があります。
A/Bテストは複数のパターンの広告を一定数の結果が出るまで出稿するため、通常の広告出稿よりも予算が高額になるケースが多いです。
たとえばコンバージョンに関するA/Bテストであれば、少なくとも100程度の数を基準にする必要があるため、「コンバージョン単価(CPA)×100」が必要なテスト予算になります。
【設定手順】Google「リスティング広告」のA/Bテストを実施する方法
この項目では、Google広告のリスティング広告でA/Bテストを実施するときの設定方法について、テスト機能の画面を参照しながら紹介します。
- 【方法①】下書きとテスト
- 【方法②】広告バリエーション
【方法①】下書きとテスト
既存の広告キャンペーンを再利用して行うA/Bテストの手順は以下のとおりです。
①すべてのキャンペーンの中から「下書きとテスト」の項目をクリックします。
②テストを行うキャンペーンを選びます。
③テストの名前とテストに関する説明文を記載し、「保存」ボタンを押してください。
④広告タグをクリックして先ほど作成した下書きにチェックを入れ、項目の中から「広告変更」を選びます。
⑤「編集」のラジオボタンをチェックし、以下の要素からテストを実施したいものを選びます。
- URL
- 見出し
- 説明文
⑥テストを実施したい要素を選んだら「適用」を押してください。
⑦「キャンペーンの作成テスト」→「+ボタン」の順にクリックします。
⑧作成した下書きを反映させます。
⑨以下の内容を入力して決めてください。
- テスト名
- テスト期間(最短でも1週間以上)
- テストへの分配比率(50%がおすすめ)
入力後、「保存」ボタンを押します。
⑩広告グループに作成してきた内容が反映されているか確認してください。
緑色のフラスコが目印です。
テスト内容が反映されていて、審査が通ればA/Bテストを実行できます。
【方法②】広告バリエーション
広告バリエーションを利用して行うA/Bテストの手順は以下のとおりです。
①まず、「広告バリエーション」→「+ボタン」の順に選んでください。
②テストを実施するキャンペーンを以下の2つから選びます。
- 「すべてのキャンペーン」
- 「キャンペーン選択」
③以下の3つの中からバリエーションタイプを選んでください。
- 検索と置換(広告内の文を別の文に変更)
- 広告文を更新(広告文の内容を変える)
- 広告見出しを入れ替える(見出し1と2を入れ替える)
④「下書きとテスト」と同様、下記の内容を決めます。
- テスト期間(最短でも1週間以上)
- テストへの分配比率(50%がおすすめ)
入力後、「バリエーション作成」ボタンを押します。
出典:Google 広告 – 新規顧客の獲得、売上増加に活きるデジタル広告
【設定手順】Google「ディスプレイ広告」のA/Bテストを実施する方法
この項目では、ディスプレイ広告でA/Bテストを行う手順について紹介します。
①まず、すべてのキャンペーンの中から「下書きとテスト」を選びます。
②ディスプレイキャンペーンを選び、名前を入力して「保存」ボタンを押してください。
③「広告タグ」→「編集」→「広告を変更」の順番に選びます。
④変更したい要素を選んで「適用」ボタンを押します。
⑤「キャンペーンのテスト」→「+ボタン」の順に選んで新しいテストを作成してください。
⑥先ほど作成した下書きのディスプレイ広告を選びます。
⑦「キャンペーンテスト」タグを選んでテスト期間を設定し、「保存」ボタンを押してください。
⑧広告グループに反映されているかを確認します。
確認内容や項目は「下書きとテスト」と同じです。
出典:Google 広告 – 新規顧客の獲得、売上増加に活きるデジタル広告
【結果の測定】Google広告のA/Bテストを実施する方法
この項目では、Google広告におけるA/Bテストの結果を確認する方法について紹介します。
①まず、キャンペーン内で「キャンペーンテスト」を選び、結果が見たいテスト名を確認します。
②テストの結果が表示されます。
要素の内容を変更したほうの結果がよい場合、青文字の「適用」を押せば、元のキャンペーンに要素の変更内容をワンタッチで反映することが可能です。
出典:Google 広告 – 新規顧客の獲得、売上増加に活きるデジタル広告
Google広告のA/Bテストの結果を分析する指標
この項目では、Google広告のA/Bテストで結果分析を行うときの指標について紹介します。
- クリック率(CTR)
- コンバージョン率(CVR)
- インプレッション・クリック数
- クリック単価(CPC)
- 顧客獲得単価(CPA)
クリック率(CTR)
クリック率はA/Bテストで非常に重要な指標です。
クリック率は、ユーザーが広告をクリックした割合なので、出稿した広告がどれだけのユーザーの興味を引けたかを判断できます。
クリック率を比較すれば、どちらの広告がよりユーザーに刺さる内容であるかがわかります。
コンバージョン率(CVR)
A/Bテストでは、コンバージョン率とクリック率をセットで分析します。
A=コンバージョン率が5%、クリック率が4%
B=コンバージョン率が7%、クリック率が3%
仮に上記のようなテスト結果が出た場合、コンバージョン率でいうならBのほうが広告として優れているとわかります。
この状態からさらに広告のパフォーマンスを伸ばすなら、Bのクリック率を伸ばす改善策を取るべきでしょう。
インプレッション・クリック数
ターゲットユーザーに自社の広告が届いているかどうかは、インプレッション数で判断できます。
インプレッション数はクリック数とセットで比較するのが一般的です。
インプレッション数・クリック数を比較してよくあるのが、インプレッション数だけが多くてクリック数が物足りないケースです。
この場合、以下のような原因が考えられます。
- 広告は十分にユーザーに届いているが、広告内容がユーザーの興味にマッチしていない
- 広告を届けようとしているターゲットの属性と自社の商品がマッチしていない
インプレッション数だけが伸びてクリック数が伸びない状態は、広告費を浪費している状態です。
そのため、クリック数が伸びるように広告内容の改善やターゲットの見直しが必要になります。
クリック単価(CPC)
1クリックあたりの単価であるクリック単価は、コンバージョン数・クリック数とセットで分析することで広告の費用対効果を確認できます。
A=クリック数は1500回、クリック単価が60円、コンバージョンが5件
B=クリック数が1120回、クリック単価が90円、コンバージョンが10件
上記の結果であれば、クリック数・クリック単価ともにAの広告のほうがパフォーマンスはよいですが、コンバージョン数がBに劣っていることがわかります。
広告の費用対効果を考えれば、売上に貢献しているBのほうがAよりも優れているといえるでしょう。
顧客獲得単価(CPA)
1件のコンバージョンを獲得するためにかかる費用を顧客獲得単価といい、これを比較すれば広告の費用対効果を確認することが可能です。
顧客獲得単価が低ければ低いほどコンバージョン1件から得られる利益は高くなり、広告の費用対効果も高くなります。
A/Bテストでは、実施前に「自社の許容できる顧客獲得単価」を設定します。
許容できる顧客獲得単価とは、1件のコンバージョンで得られる利益の中で、どれくらいまでなら広告費をかけられるかという目安です。
許容CPAともいいますが、この額を決めておかないと1件のコンバージョンを獲得するために多くの費用をかけてしまう恐れがあります。
コンバージョンによる利益が残るように広告を運用するためにも、許容CPAは必ず設定してA/Bテストを行いましょう。
効果的にGoogle広告のA/Bテストを実施するポイント
この項目では、Google広告のA/Bテストを効果的に行うためのポイントを紹介します。
- 【ポイント①】CV数が多いキャンペーンから実施する
- 【ポイント②】途中で条件を変更しない
- 【ポイント③】少ないデータで結論を出さない
- 【ポイント④】A/Bテストを繰り返す
【ポイント①】CV数が多いキャンペーンから実施する
Google広告のA/Bテストを効果的に実施するポイントは、より多くの成果を出しているキャンペーンからテストを行うことです。
多くのコンバージョンを獲得しているキャンペーンのほうが、テスト結果の比較・分析を行いやすいからです。
A/Bテストの結果を反映させてさらにコンバージョン数を伸ばせたら、さらに売上も上がっていきます。
【ポイント②】途中で条件を変更しない
途中でテストの条件を変更してしまうとテスト結果の比較がしにくくなるので、別の条件を試したいときは次の機会にするか、新しくテスト環境を用意しましょう。
特にクリエイティブの内容を変えたり、比較する条件を追加したりするのは控えましょう。
クリエイティブや条件を途中で変えると、それまで行ってきたテストが無駄になり、テスト結果の精度も落ちて欲しいデータが手に入らなくなるので注意してください。
【ポイント③】少ないデータで結論を出さない
A/Bテストは比較的短期間で実施できるテストですが、期間は最低でも1週間は取ってください。
テストの実施期間中に、途中で結果の入れ替わりが起こる可能性があるからです。
たとえば、開始当初の3日間はBの結果がよくても、7日目にはAの結果が上回っているといったケースもよくあります。
もちろん、テスト開始当初から一方の結果が圧倒的によく、そのまま7日目まで調子よく終わるケースもありますが、A/Bテストはやってみないとわかりません。
より正確なデータを取得してテストの精度を高めるなら、1週間は必ず期間を取りましょう。
【ポイント④】A/Bテストを繰り返す
A/Bテストを効果的に実施するためには、「A/Bテストは繰り返し行うもの」と認識して実行することが大切です。
A/Bテストの成功率は約3割といわれているからです。
A/Bテストを実施しても、望んだ成果が得られないことは決してめずらしくありません。
ただ、広告パフォーマンスを伸ばすにはA/Bテストによる改善が必須なので、望んだ成果が出るまで根気よく行うことが大切です。
A/Bテストはインハウスでは難しい!おすすめの広告代理店を紹介
この項目では、A/Bテストを依頼できるおすすめの広告代理店を紹介します。
- 株式会社ヒューワンズウェイ
- 広告代理店に依頼するメリット
株式会社ヒューワンズウェイ
株式会社ヒューワンズウェイ(Hew One’s Way)は、Webメディア・Web関連事業を行う会社です。
Webの集客にも秀でており、リスティング広告やSNS広告、SEO、動画広告などの運用代行から運用のアドバイスまで幅広く行っております。
広告効果を最大化することで、お客様の売上も最大化することを目的としてサービスを提供しています。
実施することは簡単でも、成果に結びつけることが難しいA/Bテストの実施代行からアドバイスまで対応することが可能です。
「A/Bテストで思うような成果が出ない…」「A/Bテストの具体的なやり方のアドバイスが欲しい」と悩む企業様の理想の結果が出るようにサポートいたします。https://how-inc.co.jp/achievements/
広告代理店に依頼するメリット
A/Bテストを広告代理店にまかせるメリットは以下のとおりです。
- 広告運用の問題が改善される(代理店は広告運用の実績・スキルが豊富なため最短で成果を出しやすい)
- 広告運用に使ってきたリソースを本業に回せる(広告運用は代理店にまかせられるので、自社の全リソースを本業に集中できる)
- 成果につながりやすいA/Bテストを実施できる(ノウハウがないと実践が難しい精度の高い仮説設定と検証をまかせられる)
広告代理店を利用すれば、自社のニーズに応じてA/Bテストの実施そのものをまかせることも、実施に関する効果的なアドバイスをもらうことも可能です。
まとめ
A/Bテストは、広告のパフォーマンスを伸ばすための有効な手法です。
初心者でも手軽に実施でき、うまくやればコンバージョン率のアップがねらえて、ランディングページの改善にも役立てられます。
闇雲な改善ではなく、テスト結果を比較した上でベストな改善を行えるので、成果にもつながりやすくなります。
ただ、テスト自体の成功率は約3割と低いため、思うような成果を出すためには試行錯誤と繰り返しの実践が必要です。
テスト結果で分析する指標も多く、ある程度の知識とノウハウが貯まるまでには多くの時間が必要になります。
「自社でA/Bテストを実施しても成果を出せる気がしない…」という企業様は、広告代理店を活用するのがおすすめです。
広告代理店であればテスト実施の代行から運用のアドバイスまで幅広く対応しています。
当社もサービスを提供しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。