リスティング広告のA/Bテスト実施ガイド|準備・設定・測定・分析まで徹底解説
リスティング広告は購入意欲の高いユーザーをねらい打ちして広告を表示できるため、コンバージョンを得やすいWeb広告媒体です。
ただ思うような成果を出すためには、A/Bテストなどを積極的に実施して、よりユーザーの興味を引く広告文やタイトルを用意してクリック率を上げる必要があります。
本記事では、リスティング広告のA/Bテストの概要やメリット、比較できるポイントなどを紹介します。
また、A/Bテストの実施で必要な事前準備、設定方法、確認方法、注意点なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
リスティング広告のA/Bテストとは?
リスティング広告のA/Bテストとは、広告の一部の要素を変えた複数のパターンを同時に出稿し、どちらがより効果的かを比較する手法です。
主に広告文のクリエイティブやクリックした先のランディングページ(LP)の要素を変更してテストにかけます。
複数テストした中でもっともパフォーマンスの良かったパターンを採用することで、広告効果の最大化につなげることが可能です。
リスティング広告のタイトルのA/Bテストを、上記の画像を例に説明すると以下のようになります。
- A=新商品を限定特価で提供すると伝えることで、トレンド・限定性・特別感を演出する
- B=期間限定で人気のアイテムを特別価格で提供すると伝えることで、お得感と緊急性を演出する
上記の2パターンを同時に出稿し、「自社のユーザーにはどちらのメリットが刺さるのか?」「どちらのタイトルがクリックされるのか?」などを数値で確認します。
リスティング広告のA/Bテストは管理画面上で設定できる
リスティング広告のA/Bテストは、管理画面上で設定できる媒体が多いです。
リスティング広告を提供する代表的な媒体であるGoogle広告も、管理画面上でA/Bテストの設定ができます。
広告キャンペーンをひとつ作成してこれを複製し、広告文やタイトルなどの一部分だけを変更したパターンを2つ以上用意し、同時に出稿してユーザーからの反応を見ます。
リスティング広告のA/Bテストを実施するメリット
この項目では、リスティング広告でA/Bテストを行うメリットについて紹介します。
- 【メリット①】手軽に実施できる
- 【メリット②】成功または失敗の要因を特定できる
- 【メリット③】LPの改善に役立つ
【メリット①】手軽に実施できる
リスティング広告のA/Bテストは、手軽に実施できることがメリットです。
比較する要素が単純なものであれば、テストの実施に特別な準備や長期間の計画は必要ないからです。
特にタイトルや広告文などは作成の段階で複数のパターンが自然に生まれるケースも多いので、クリエイティブを用意する手間がまったくかからないこともあります。
自然に生まれた複数のパターンの中から「どれを選べばいいのかわからない」と迷うときにA/Bテストを行うことも多いです。
実施期間も、短いテストであれば1週間程度で済むので、その結果を迅速に広告運用の改善に生かせます。
【メリット②】成功または失敗の要因を特定できる
リスティング広告のA/Bテストは、成功や失敗の要因を特定しやすいのもメリットです。
GoogleやYahoo!などの検索結果画面で表示されるリスティング広告は、オプション機能を使わない限りテキストのみで構成されるからです。
画像などを使った複合的な内容ではなく、シンプルなテキストの内容のみでテストを行えば成功や失敗の要因も特定しやすくなります。
要因がわかりやすければ、具体的な改善点もすぐに見つけられます。
【メリット③】LPの改善に役立つ
リスティング広告のA/Bテストを行うと、LPも改善しやすくなります。
リスティング広告のA/Bテストの結果で先にユーザーの反応やニーズを把握しておけば、それを基にLPも改善できるからです。
これにより、時間とコストを節約しつつ、効果的なLPの改善が可能になります。
リスティング広告は、LPとの連携がうまくいってこそ多くのコンバージョンの獲得につながります。
そのため、LPにリスティング広告のA/Bテストの結果を反映させることはとても大切です。
リスティング広告のA/Bテストで比較できるポイント
この項目では、リスティング広告のA/Bテストで比較するときのポイントを紹介します。
- 【ポイント①】タイトル
- 【ポイント②】広告文
- 【ポイント③】リンク先LP
【ポイント①】タイトル
リスティング広告では、広告のタイトルがよくA/Bテストにかけられます。
タイトルはユーザーが広告を見たとき、最初に注目されるキャッチコピーの役割があるからです。
タイトルでユーザーの興味を引けなければ、ユーザーは広告をクリックしてくれません。
広告タイトルをテストにかけるときは、訴求内容の比較、数字の活用の比較、記号の活用の比較などを行います。
タイトルのA/Bテストを行う際は、「数字を入れることによって効果を実感できるようになるのでクリック率も向上しそうだ」というように仮説を立てることが大切です。
立てた仮説と実際の結果と比較検証することで、より効果的な広告タイトルを見つけ出せます。
【ポイント②】広告文
広告文も、ユーザーが広告をクリックするかどうかの重要な判断材料になります。
自社の商品やサービスの強みを簡潔かつ明確に言語化し、異なるバージョンの広告文を複数作成してそれぞれのパフォーマンスを比較して、最適な方を選択します。
広告文を作成するときは、あくまでも事実に基づいた内容にしましょう。
たとえば、リスティング広告の広告文では商品価格を2,000円と書いていながら、LPでは3,000円で販売するような行為はユーザーを騙すことになります。
Google広告、Yahoo!広告それぞれにガイドラインが用意されているので、広告文作成の際は確認しておきましょう。
【ポイント③】リンク先LP
リスティング広告で集客したユーザーはLPの内容を見て購入するかどうかを決めます。
そのため、LPのA/Bテストも重要です。
LPでは主に以下の要素をテストします。
- ファーストビュー
- コンバージョンに至る導線
- 広告とLPの内容の一致度
ファーストビューでは、「ユーザーがLPに訪れた際に最初に目にするコンテンツがしっかり次のアクションに誘導しているか?」などが比較ポイントになります。
コンバージョンに至るまでの導線については、「ユーザーにとってわかりやすいかどうか」が大切です。
また、「リスティング広告の内容とLPの内容に相違はないか」「訴求内容や値段などに一貫性はあるか」なども重要な要素です。
リスティング広告のA/Bテストを実施する際の流れ
この項目では、リスティング広告のA/Bテストを行うときの流れについて紹介します。
- 目的・比較ポイント・予算を明確にする
- A/Bテストの設定・実施
- 結果の分析・繰り返し
1.目的・比較ポイント・予算を明確にする
リスティング広告のA/Bテストでは、目的や目標、予算を詳細にシミュレーションして計画を立てることが大切です。
テスト前のこの準備が、A/Bテストの成果を大きく左右します。
「どのような結果を求めているのか」を明確にし、テストにかけるそれぞれの要素の仮説を立て、どれくらいの予算が必要になりそうかをシミュレーションします。
2.A/Bテストの設定・実施
前項で設定した目的や仮説、予算のシミュレーションを基にA/Bテストを実施します。
テスト期間はそれぞれの広告戦略やテスト内容によって異なりますが、たいていの場合、最短で1週間、最長でも1ヶ月ほどの期間が目安です。
短すぎると結果が偶然に左右される可能性があり、長すぎると市場の変動による影響を受けやすくなります。
3.結果の分析・繰り返し
テスト期間が経過したら、その結果の確認と分析を行います。
A/Bテストは、常に思うような成果が出るとは限らないため、必要に応じてテストを何度か繰り返す必要があります。
たとえば、1週間で成果が出ないなら2週間に期間を延ばしたり、結果に目立った違いが確認できないならクリエイティブを作り直したりなど、根気よく取り組むことが大切です。
【準備】リスティング広告のA/Bテストを実施する方法
この項目では、リスティング広告のA/Bテストを行うときの準備について紹介します。
- 目的を決める
- 比較ポイントを明確にする
- 予算を決める
目的を決める
リスティング広告のA/Bテストをはじめる前に、まずは広告出稿の目的を明確にします。
リスティング広告は自社商品へのニーズが高いユーザーをピンポイントでねらえる広告なので、ほとんどの場合、コンバージョンの獲得が目的になるでしょう。
リスティング広告のキャンペーン分析やLPのアクセス分析などを行って課題を特定します。
具体的には、「広告のクリック率が低い」「コンバージョン単価が高い」「LPの滞在時間が短い」といった問題点をリストアップしていきます。
リストアップした問題点に優先度をつけ、これらを解決するためにA/Bテストの計画を立てるのが一般的です。
比較ポイントを明確にする
次はA/Bテストで比較するポイントを明確にします。
たとえば、「クリック数が少ない」が解決すべき課題であれば、広告へのクリック数がテストでの比較ポイントです。
ただこのとき、解決すべき課題が多くても一度に複数の比較ポイントを設定してA/Bテストを行うのは避けましょう。
複数の比較ポイントをひとつのA/Bテストに含めてしまうと、それぞれの差異や違いが見えにくくなるからです。
クリック数のテストならクリック数だけに注目し、コンバージョン獲得数ならコンバージョン獲得数だけに注目してテストを行いましょう。
ひとつのA/Bテストにつき、比較ポイントはひとつに絞るのがおすすめです。
予算を決める
最後はA/Bテストにかける予算についてです。
A/Bテストでは数値を比較して優劣を決めるので、ある程度の成果や数値が必要になります。
そのため、適切な予算の確保が必須です。
比較する数値を少なくとも100は確保したいので、クリック率が比較ポイントなら「クリック単価」×「100」くらいの予算は用意しておきましょう。
比較ポイントがコンバージョン率なら、「コンバージョン単価」×「100」くらいの予算が必要です。
【設定手順】リスティング広告のA/Bテストを実施する方法
この項目では、リスティング広告のA/Bテストの設定手順について紹介します。
- Google広告のA/Bテスト設定方法
- Yahoo!広告のA/Bテスト設定方法
Google広告のA/Bテスト設定方法
Google広告のA/Bテストの設定方法は以下のとおりです。
①まず、すべてのキャンペーンから「下書きとテスト」をクリックします。
②「キャンペーン選択」をクリックしてテストを実行するキャンペーンを選びます。
③テスト名と説明文を入力して保存してください。
④テストを行うキャンペーンで「広告と表示オプション」→「広告」をクリックし、下書きにチェックを入れて「広告変更」を選びます。
⑤「編集」にチェックを入れてテストする要素を選んでください。
⑥テストする要素の編集やアクションの設定を行い、完了したら「適用ボタン」を押してください。
⑦すべてのキャンペーンから「キャンペーンのテスト」を選び、丸い「+ボタン」をクリックして広告の配信期間や予算を設定します。
⑧要素を変更したキャンペーンを選んで、キャンペーンテストに反映させてください。
⑨「テスト名」「テスト期間」「テストへの分配比率」を設定してください。
テスト期間は最低1週間、分配比率は50%以上が推奨です。
最後に「保存ボタン」を押してください。
⑩広告グループ内の表示にテスト内容が反映されているか確認してください。
「緑のフラスコマーク」が目印です。
出典:Google 広告 – 新規顧客の獲得、売上増加に活きるデジタル広告
Yahoo!広告のA/Bテスト設定方法
Yahoo!広告のA/Bテストの設定方法は以下のとおりです。
①Yahoo!広告はGoogle広告のようにA/Bテストが実装されていません。
そのため、キャンペーンを2つ用意してそれらの結果を比較します。
まず、テストの対象になるキャンペーンの管理画面を立ち上げてチェックを入れ、「編集」をクリックして「選択した広告コピー」を選びます。
②前記の操作によって画面が切り替わるので、コピー先のキャンペーンと広告グループを選んでグレーの「コピーボタン」を押してください。
③広告が複製されているのを確認できたらテストしたい要素を変更し、広告出稿するとA/Bテストを実施できます。
出典:【公式】Yahoo!広告でサイトへの集客アップ|LINEヤフー for Business
【結果の測定】リスティング広告のA/Bテストを実施する方法
この項目では、リスティング広告のA/Bテストの結果測定について紹介します。
- Google広告のA/Bテスト結果の確認方法
- Yahoo!広告のA/Bテスト結果の確認方法
Google広告のA/Bテスト結果の確認方法
Google広告のA/Bテストの結果を確認する方法は以下のとおりです。
①結果を確認する「キャンペーンのテスト」をクリックして、テスト名を選んでください。
②このページにて、クリック数や費用、コンバージョンなどを確認できます。
数値に満足してこのキャンペーンの内容を既存キャンペーンに反映したい場合は、右上の青い「適用」をクリックしてください。
出典:Google 広告 – 新規顧客の獲得、売上増加に活きるデジタル広告
Google広告のランディングページのA/Bテスト実施方法については「【Google広告】ランディングページ(LP)のA/Bテスト実施ガイド」で細かく解説していますのでご一読ください。
Yahoo!広告のA/Bテスト結果の確認方法
Yahoo!広告のA/Bテストの結果は、キャンペーンの一覧画面から通常広告分析と同じ画面で確認できます。
ただGoogle広告のように自動でテスト内容を反映できないので、採用したいテスト内容がある場合は手動で行う必要があります。
出典:【公式】Yahoo!広告でサイトへの集客アップ|LINEヤフー for Business
Yahoo広告のA/Bテストの実施方法については「Yahoo!広告のA/Bテスト実施ガイド」で細かく解説していますのでご一読ください。
効果的にリスティング広告のA/Bテストを実施するための注意点
ここでは、リスティング広告のA/Bテストを行うときの注意点について紹介します。
- 【注意点①】影響力が強いキャンペーンから実施する
- 【注意点②】テスト中に条件を変えない
- 【注意点③】少ない日数・データで結論を出さない
- 【注意点④】A/Bテストを繰り返す
【注意点①】影響力が強いキャンペーンから実施する
ボリュームの大きいキャンペーンの方が比較しやすいので、まずは影響力の大きいキャンペーンからテストしましょう。
たとえば、月のコンバージョンが100件と30件のキャンペーンがあるなら、100件のキャンペーンからテストするのがおすすめです。
【注意点②】テスト中に条件を変えない
テストの途中で条件を変えてしまうと結果の分析が複雑になるので、一度はじめたA/Bテストは条件を変えずに続行しましょう。
特に変更前の条件と変更後の条件が似通っている場合は、分析時の集計などの処理に手間がかかります。
場合によっては、思うようなテストにならず費用を浪費するだけで終わってしまうかもしれません。
A/Bテスト中にどうしても新しい条件を試したいときは、新しいテスト環境を用意しましょう。
【注意点③】少ない日数・データで結論を出さない
少ない日数のデータでテストの結果を判断しないことも重要です。
A/Bテストでは、テスト開始時の結果と一定時間経過後の結果が逆転することもあるからです。
たとえば、「テスト開始2日目はBの結果が良くても、6日目にはAの数値の方が伸びている」といったケースは珍しくありません。
少ない日数で結論を出すと判断を誤ることにつながるので注意してください。
【注意点④】A/Bテストを繰り返す
リスティング広告のA/Bテストの成功率はあまり高いとは言えません。
一般的には、20~30%ほどと言われています。
そのため、「納得のいくテスト結果を得るためには繰り返しの実施が前提」と捉えてテストに取り組むことをおすすめします。
「仮説はあくまでも仮説」と割り切り、成果が出るまでテストを行う前提で予算や準備を整えましょう。
A/Bテストをインハウスで実行するのが困難な場合は広告代理店がおすすめ
リスティング広告のA/Bテストをインハウス(企業内・自社内)で行うのがむずかしい場合は、外部のプロに依頼するのがおすすめです。
広告運用を専門に行う代理店は豊富な実績とノウハウを持っているため、すでに最適解を知っています。
そのため、インハウスよりも短い期間で効率よく自社の広告運用を改善してくれます。
広告運用にかける時間もリソースも足りない場合は、「すべての作業を代理店にまかせて自社は提出されるレポートで運用成果を確認するだけ」という環境を用意することも可能です。どうしてもインハウスでテストしたい場合は、実施時にアドバイスをもらうことも可能です。
リスティング広告運用初心者は無理にインハウスですべてをこなそうとせず、広告代理店の活用を検討しましょう。
代理店を利用すれば、自社の運用負担を減らしつつ、より効果的な広告運用を実現できるでしょう。
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まとめ
リスティング広告で成果を出すには、広告を出稿して運用を続けながら定期的に成果の分析や改善を行う必要があります。
A/Bテストは、この成果の分析や改善の際に非常に役立つ手法です。
実施自体は簡単で成功と失敗の原因もわかりやすく、テスト結果は誘導先のLPの改善にも役立ちます。
ただA/Bテストで十分な成果を得るには、ある程度の事前準備と一定額の予算が必要です。
成功率も高くはないので、繰り返しテストを行う根気も求められます。
「リスティング広告の運用改善を行いたいが、A/Bテストを行う時間もリソースもない」
「運用改善のために、何から手をつければいいのかわからない」
上記のような悩みを持つ企業様は、広告代理店の利用がおすすめです。
自社のリスティング広告の運用改善やA/Bテストの実施について、時間やリソース不足に悩んでいるなら、ぜひお気軽にお問い合わせください。